OpenCore Legacy Patcher を使用することにより、最新のmacOS をサポートされなくなったMacにもmacOS Ventura やmac OS Monterey などの新しいmacOS をインストールできるようになります。
ただし、執筆時点(2022年11月30日)ではOpenCore Legacy PatcherでのmacOS Ventruaのサポートはベータということもあり、古いMetal グラフィックを利用しているMacではいくつかのトラブルが存在します。
この記事では古いMatal GPUで発現するmacOS Ventura のトラブルについて紹介します。
目次
OpenCore Legacy Patcher でサポートしているGPU
OpenCore Legacy Patcherで現在サポートされているGPUは次の通りです。
※ このリストは執筆時点(2022年11月30日)でのサポート状況です。
- Intel
- Ivy Bridge (HD4000)
- Haswell (HD4400/4600/5xxx)
- Broadwell (HD6xxx)
- Skylake (HD5xx)
- NVIDIA
- Kepler (GTX 6xx, GTX 7xx)
- AMD
- GCN 1-3 (HD 7xxx/8xxx/9xxx, R7/R9)
- Polaris (RX 4xx/5xx)
- Only required if CPU lacks AVX2.0 support
(GitHubより)
以前まとめたように、macOS Venturaでのサポートの有無にかかわらず、Metalを利用できる幅広いモデルがOpenCore Legacy Patcherでサポートされています。
レガシーMetal GPUでの既知の問題
問題 | 深刻度※1 | 対象機種 | 回避策 |
---|---|---|---|
天気アプリで下までスクロールするとクラッシュする | 中程度 | Intel Ivy, Haswell iGPU | 下へスクロールしない、サイドバーを隠さない、フルスクリーンにしない |
Font Bookがクラッシュすることがある | 中程度 | Intel Ivy, Haswell iGPU | |
ブック、Font Book、カレンダーでフォントが見つからない | 中程度 | Intel Ivy Bridge iGPU | |
ニュースウィジェットで通知センターがクラッシュする | 深刻 | Intel Ivy, Haswell iGPU | セーフモードで起動し、ニュースウィジェットを削除する |
ネイティブなMetal 3 eGPUがMetal 2と認識する場合がある | 表面的 | Haswell iGPU | ドライバの機能には影響なし |
連携カメラがブラックアウトする | 中程度 | Intel Ivy, Haswell iGPUs NVIDIA Kepler GPU (requires Metal 2) | Camoを利用する |
Interface Builder UIが時々クラッシュする | 中程度 | NVIDIA KeplerとIntel iGPUを搭載 | |
.movをQuickTimeタイムライン上で見ると乱れて表示される (Green Artifacts) | 表面的 | Intel Ivy, Haswell iGPUs | |
ミー文字がフリーズまたはクラッシュする | 深刻 | Intel Ivy, Haswell iGPU | ミー文字をプロフィールアイコンに設定しない (最後に動作を確認: macOS13.0 Beta 1 (22A5266r)) |
全画面表示のミュージック(Music.app)のミニプレイヤー | 深刻 | Intel Ivy, Haswell iGPU NVIDIA Kepler GPU (requires Metal 2) | フルスクリーンにしない |
画面を部分的に録画する際、不具合が発生する | 深刻 | NVIDIA Kepler | フルスクリーンで録画し、後からトリミングする |
ハードウェアエンコード/デコード(例: Chromeの初期読み込みが遅いなど) | 深刻 | AMD GCN 1~3世代 | |
内蔵GPUがAMD Legacy GCNの場合、外部ディスプレイに黒い画面が表示される | 表面的 | AMD Polaris | 別のディスプレイにレンダリングする |
MetalのMesh Shaderの機能セットが利用できない | 深刻 | すべての非ネイティブGPU |
- 備考:
- AMD GCN 1-3の問題は、GPUがAMD PolarisでCPUがAVX2.0を欠いている場合にも該当します。また、MacBookPro13,3はフレームバッファの欠落が原因です。
- Appleがディスク上のバイナリをdyld_shared_cacheにマージしているため、バイナリの抽出はDCSEプロジェクトに依存しています。しかし、dyldの情報が削除されているため、抽出されたバイナリの一部が破損している可能性があります。
- 天気、Font Book、ニュースウィジェットのクラッシュは、GPUCompiler.framework の libLLVM.dylib の抽出に起因しています。
- フレームの下部をレンダリングしようとするとRenderBox.frameworkからクラッシュが発生します。
- AMDRadeonVADriver.bundle と AMDRadeonVADriver2.bundle の抽出により AMD の Encoder/Decoder が壊れる。
- 現在、ストックのVAを使用し、完全なクラッシュを回避していますが機能していません。
- 天気、Font Book、ニュースウィジェットのクラッシュは、GPUCompiler.framework の libLLVM.dylib の抽出に起因しています。
※1: 深刻度 (Severity)に関しては、うまい対訳が思い浮かばなかったため次のように対応しています。
元の表記 | 訳 | 説明 |
---|---|---|
Non-Functional | 深刻 | 操作に関わる重要な機能が利用できなくなる |
Semi-Functional | 中程度 | タイミングに応じて機能不全に陥るか、使用にあたり代替できる個所、または小さな機能が全く利用できなくなる |
Cosmetic | 表面的 | 軽微な問題とまではいえないものの、システムへの悪影響はない |
まとめ
ここまでレガシーMetal GPUを搭載したMacでmacOS Venturaをインストールした際に起きうる問題とその回避策などを見てきました。
OpenCore Legacy Patcherの開発を行うMykola Grymalyuk氏によると、現在公開中のパッチはベータで開発中であるため、これらの問題に抵抗がある場合にはmacOS Montereyの使用を推奨しています。
また、2011年以前など非Metal GPUを搭載したMacなどのサポートに関しても現在サポートに向け活発に開発がされているようで今後のOpenCore Legacy Patcher関連ニュースにも目が離せません。
最後までお読みいただきありがとうございました!
それでは引き続き楽しいMacライフを!
弊ブログ(あのかぼ)含む、Kabocy Mediasグループ内では、引き続きmacOS VenturaとOpenCore Legacy Patcherの最新情報をお届けいたします。
2023.01.16 記事内のリンクを修正しました。(3件)
2023.01.16 記事のカテゴリーを「修理・カスタマイズ」から「Mac」へ変更しました。