MicrosoftのSurfaceシリーズは2012年の発売以来、Windows の新しいトレンドを作り続けてきました。これらのデバイスを支えるのは、ハードウェア間のやり取りを管理するための専用のファームウェアです。
MicrosoftはSurface IT Pro ブログでSurfaceの組み込むファームウェアの10年の軌跡を公開しました。本記事では、MicrosoftがSurfaceファームウェアをどのように進化させてきたかについて詳しく解説します。
Surfaceの始まりは2機種から
Microsoftが初代SurfaceとSurface Proを発表した2012年、ファームウェア管理は比較的シンプルでした。各デバイスには、その特定のニーズに合わせてカスタマイズされたファームウェアが搭載されていました。デバイスが2種類のみであったため、このアプローチは効果的でした。
しかし、マイクロソフトがSurface製品ラインを拡大し、さまざまなデバイスやフォームファクターを追加するにつれて、ファームウェア管理はますます複雑になりました。新しいデバイスごとに固有の機能や特徴があり、それに対処するためのファームウェアの更新や問題解決は、手間がかかるようになりました。
共有ファームウェアアーキテクチャの採用
この複雑さに対処するために、Surfaceチームは共通のコアを持つ共有ファームウェアアーキテクチャを採用し、デバイスごとの拡張機能を追加しました。
この戦略は約9年前に実装され、複数のモデルに適用できる単一のファームウェア修正を作成することが可能になりました。この方法により、ファームウェアの更新が迅速かつ効率的に行えるようになったとMicrosoftは説明しています。
共有ファームウェアアーキテクチャの限界
共有ファームウェアアーキテクチャは成功しましたが、MicrosoftがSurface製品ラインをさらに拡大する中で、新たな課題が生じました。ハードウェアのスケーラビリティ、柔軟性の向上、信頼性の高い更新方法の必要性が新たな課題として浮上したのです。
柔軟で堅牢なファームウェア アーキテクチャの開発
これらの課題に対応する中で、自動化とContinuous Integration/Continuous Delivery (CI/CD) (継続的インテグレーション/継続的デリバリー)に注目するようになったとしています。これがMicrosoftは現在ほぼすべてのSurfaceデバイスで利用されている「柔軟で堅牢なファームウェア アーキテクチャ」になっているとのこと。
このファームウェアアーキテクチャはさまざまなシリコン プラットフォームをサポートし、コードの再利用性、堅牢な自動化、CI/CD 機能を通じて開発者の効率を最大限引き上げたとし、Surface Pro、Surface Dock、Surface Laptop など、異なるフォームファクター間で一貫した性能と機能が提供されました。
Surface組み込みファームウェアの将来
マイクロソフトは、Surfaceファームウェアの進化がまだ終わっていないとし、デバイスエコシステムとファームウェアプラットフォームをさらに改善するための新しい方法を模索し続けています。今後の取り組みとしてMicrosoftは以下を紹介しました。
- デバイスのセキュリティを強化
- 高度なセンサー統合によってパフォーマンスを向上
- Copilot キーなどの便利な機能を導入
- RUST (プログラミング言語)ベースのセキュリティ対策の導入
まとめ
Surfaceの歴史の中でデバイスに組み込まれたファームウェアは重要で、Microsoftの開発チームは、各ファームウェア更新がSurfaceデバイスの性能、セキュリティ、機能性を向上させるよう、日夜努力を重ねていることが分かりました。
MicrosoftはWindows を搭載したデバイスのセキュリティを向上させるために調査研究をし、その結果を取りまとめ公開しています。この取り組みがユーザにとって安心してPCを利用するための足掛かりになったり、PCメーカに対する啓蒙に繋がります。
一方で現在「Copilot+ PC」の目玉機能としてWindows 11に搭載された「Recall」機能に重大な問題が含まれている可能性を指摘されています。ハードウェアとソフトウェアでセキュリティのアプローチは異なりますが、Microsoft社内全体でセキュリティやユーザビリティについて引き続き開発していくことで一般の消費者や企業はより安心してPCを利用できるようになります。