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MacBook 2017の分解とバッテリー交換方法

修理・カスタマイズ

MacBook 2017の分解とバッテリー交換方法

この記事ではサイズ感が最高に可愛い、MacBook (Retina, 12-inch, 2017)のバッテリーの交換方法について紹介します。MacBook 2017では「最大10時間のワイヤレスインターネット閲覧、最大12時間のiTunesムービー再生、最大30日のスタンバイ時間」というようにバッテリーの持ちが非常によく、サイズと相まって持ち運びをメインに利用するには非常に優れたMacです。

しかし、MacBook 2017に「バッテリーの交換修理。」と表示された暁には最悪です。電池が持たないMacBookではせっかくのコンパクトボディーも、発熱の少ないCPUも、ただただ恨めしいばかり。

今回はそんなMacBook のバッテリー交換方法を見ていきます。

なお、今回はMacBook 2017のバッテリー交換を紹介しますが、MacBook (Retina, 12-inch, Early 2015)やMacBook (Retina, 12-inch, Early 2016)でも殆ど手順は同じです。(ただし、MacBook 2015の場合には初回起動のみ特別な作業が必要です。)

目次

用意するもの

今回は用意するものが沢山ありますね。
もし、MacBook 2015の分解やバッテリーの交換を行う場合には、上記のものに加えて、下記2つも必要になります。

MacBookのバッテリーの状態を確認する方法

本当にバッテリーの交換が必要なのか判断してみましょう。

(なお、特にバッテリーの状態を確認する必要がない方は、次の「MacBook (Retina, 12-inch)の分解準備をする」までお進みください。)

というのも、MacではSMC(System Management Controller)にトラブルが生じてもバッテリー関連にトラブルが発生することがありますので、とりあえず「MacBook が充電できなくなった!」って場合には一応SMCリセットを試してみましょう。

MacBook 2017はT2セキュリティチップを搭載していないMacなので、こちらの記事を参考にSMCをリセットしてみてください。

今回バッテリーを交換したMacBookのようにバッテリーが全く持たないというトラブルの他にも、「なんとなくMacBookの電池の持ちが悪い」という方もいらっしゃるかもしれないので、「バッテリーの替え時」のサインについて確認する方法を紹介します。

システム環境設定からバッテリーの状況を確認する方法

左上にあるAppleメニューから、「システム環境設定…」をクリックします。

Appleメニューをクリックした様子
Appleメニューをクリックした様子

▼「システム環境設定」が開いたら「バッテリー」をクリックします。
(なおOSや環境によっては「省エネルギー」です。)

さらに、「バッテリー」をクリックします。

この時、ウィンドウ上部に「バッテリーに関する重要なメッセージ」「バッテリーの容量が著しく低下しています。容量を回復させるには、修理サービスオプションをご確認ください。」と表示された場合にはバッテリーの交換が必要という事になります。

なお、macOS High Sierraなどでは、「バッテリーの交換修理。」などと表示されます。

システムレポートからバッテリーの状況を確認する方法

左上にあるAppleメニューから、「このMacについて」をクリックします。

Appleメニューをクリックした様子
Appleメニューをクリックした様子

▼ 出てきたウィンドウにある「システムレポート…」と記載されているボタンを選択します。

MacBook Air (Mid 2009)のシステム情報

システムレポート(システム情報)が開いたら、左ペインから「電源」をクリックします。
すると、「バッテリー情報:」の下に「状態:」という項目があると思います。
もしも、この状態の横に「正常」とあればバッテリーは正しく機能しています。

正常に動作しているMacBookPro7,1のバッテリー
正常に動作しているMacBookPro7,1のバッテリー

ここが「修理サービス推奨」または「バッテリーの交換修理」となっている場合には、新品購入時や正常動作時と比べバッテリーが劣化していることを示しています。そろそろ替え時かもしれません。

そろそろ危なそうなMacBookPro9,1のバッテリー
そろそろ危なそうなMacBookPro9,1のバッテリー


もしも、システムレポート上で「バッテリー情報:」が表示されていない、または「バッテリーの装着: いいえ」になっているということは、つまりバッテリーを認識していないという事ですね。この場合にはむしろSMCをリセットすると直るかもしれないです。
直らなかったら、バッテリーを交換するといいかもしれないです。

バッテリーが取り付けられていないMacBookAir2,1

以上バッテリーの状況を確認する方法でした。

ちなみに、macOS MontereyやmacOS Big Surなどがサポートされない古いMacに、それぞれのOSをインストールする方法は下記リンクにまとめてございますので、興味のある方はぜひご覧ください。

では次のステップから、MacBookの分解準備を始めていきます。

MacBook (Retina, 12-inch)の分解準備をする

このステップはMacBookの分解の際には必ず行う必要があります。

MacBookの自動起動(Auto Boot)を止める方法

分解の準備、として行う必要があるのは、Auto Boot(自動起動)の無効化です。
分解中に勝手にMacBookの電源が入ってしまうと、本体を壊す可能性があるために、この作業は必ず行うようにしましょう。

Macを起動させ、ターミナルに下記のコマンドを入力し、return(Enter)キーを押下します。

sudo nvram AutoBoot=%00
Auto Bootを無効にする

なお、作業が完了し、Auto Bootを再度有効にしたい場合には、ターミナルに下記のコマンドを入力し、return(Enter)キーを押下します。

sudo nvram AutoBoot=%03

MacBook (Retina, 12-inch)を分解する

では、いよいよMacBook (Retina, 12-inch, 2017)の分解を開始します。
必ず「MacBook (Retina, 12-inch)の分解準備をする」を終えたことを確認してください。

ちなみにこの作業はiFixitのRetina MacBook 2017バッテリー の交換を参考に交換を行いました。
iFixitとの違いは、ロジックボードを取り外すか否か、になります。ぜひ作業前に、ザーッと流れを確認しておくとスムーズに作業が行えると思います。

MacBookをひっくり返し、丸を付けた8本のネジを取り外します。なお、8本のネジはどれもP5ペンタローブですが、長さが違います。

  • 赤の丸 2本の1.8 mm P5ペンタローブネジ(短いネジ)
  • 青の丸 4本の2.9 mm P5ペンタローブネジ( ネジ )
  • 紫の丸 2本の6.1 mm P5ペンタローブネジ(長いネジ)


これらの8本のネジはプラスやトルクスではなく、iPhoneなどにも使われているペンタローブです。(大事なことなので2度言いました的な…。)

全部ネジを外しました。

ヒンジ当たりの隙間から、ボトムカバーをゆっくりと外していきます。
(【重要】この時、ケーブルが付いていますので、一気には外しません。)

うまく外れない時は、分解用のピックを使用し、分解を進めます。(あまり差し込みすぎないようにしましょう。)

なお、ちょっと固い部分があります。ここにはクリップがあり、ボトムカバーを支えていますので、丁寧に開けていきます。

ここまでの作業ができたらゆっくりとボトムカバーを浮かべて、ケーブルの状態を確認します。

では、一度ボトムカバーを閉じて(完全に閉じるわけではない)、本体の向きを変えます。

▼ (本体の向きを変えました。)見づらいかもしれませんが、肌色の四角(LED)と赤い四角(ボタン)を確認します。
肌色の四角の部分は電源の状態を示すLEDで、このLEDが光っている時にはMacが起動している可能性があります。

iFixitの説明を引用します。

電源LEDが点灯している場合、LEDが消えるまでボタンを長押しして離します。 これには最大10秒かかります。

LEDが点灯していない場合、5〜10秒後にボタンを離します。 再度、5〜10秒間押し続けてから離します。 最後に、3回目として5〜10秒間押し続けてから離します。

iFixit 手順6

今回はLEDが光っていなかったので、↑の手順に従い、スパッジャーの先端で「大体8秒間ボタンを長押ししては離す」を3セット行いました。

再度、ボトムカバーを閉じて(完全に閉じるわけではないです)、本体の向きを変えます。

続いてトラックパッドのケーブルを抜きます。
赤枠の部分のシールをめくります。

めくると、ロックレバーが出てきます。これをスパッジャーを使用して持ち上げます。

筐体の穴からケーブルを引き抜きます。

無事に取れました。

またまた、ボトムカバーを閉じて(完全に閉じるわけではない)、本体の向きを変えます。

この段階で、MacBookを90度程度まで開くことができるようになりました。
壁などに立て掛け、筐体と壁をマスキングテープなどで固定すれば作業がしやすくなります。

という訳で、記念に全体像を。

MacBook 2017のボトムカバーを外した様子
MacBook 2017のボトムカバーを外した様子

MacBookのロジックボードです。
非常に小さいですね。

では、続いて赤い丸で印をつけたT5トルクスネジを外します。

ここで、一応絶縁しておきたいので、絶縁ピックを用意します。
Kabocy(筆者)は自作の絶縁ピックを使いました。(写真を撮ったつもりだったのですが、透明だったために見づらかったので赤枠で囲いました。)

これをロジックボードとバッテリーのコネクタとの間に差し込み、絶縁をします。

では次に青い丸で囲った2つのネジを取り外します。
2つのうち上のネジは1.1mm #00 プラスネジ、下のネジは3.5 mm T5トルクネジです。
ネジが取れたら、スパッジャーを使って赤枠のプレスコネクタを取り外します。

プレスコネクタ

続いて、3.5mmヘッドフォンジャックをつなぐZIFコネクタを外します。
こちらもバックフリップロック方式のZIFコネクタになっています。
赤枠で囲ったロックレバーを起こしてフレキシブルケーブルを抜きます。

取り外すことができました。

ディスプレイケーブルコネクタを取り外します。
赤枠で囲ったテープを剥がします。

スパッジャーを使用しロックレバーを起こします。

▼ ロックレバーを起こした様子。

▼ 別の角度から。

紫の枠で囲ったフレキシブルケーブルを筐体から剥がします。
この時、あまりにも固く筐体とくっついているときは、少し温めて慎重に剥がすといいでしょう。
無事に剥がせたら、フレキシブルケーブルをロジックボードから慎重に取り外します。

これで一通りの分解はできました。

なお、筆者はロジックボードを取り外すことなく、バッテリーの交換をしましたが、iFixitでは、完全にロジックボードを取り外すことを推奨しています。

MacBook (Retina, 12-inch)のバッテリー交換方法

では、いよいよバッテリーの交換をしていきます。
とはいっても、まずは古いバッテリーを取り外す(という非常な地味な)作業から始めていきます。

筆者はアセトンではなくイソプロピルアルコール(IPA)を使用しました。無水エタノールでも代替可能ですが、IPAの方が安いです。
分解用カードにIPAを散布し、バッテリーと筐体の間に差し込みます。
(この時、加える力は出来るだけ少なく、ゆっくりと作業しましょう。またバッテリーを変形させたり、傷をつけないように作業するようにしてください。)

なお、IPAを使う際には使い捨ての手袋ゴーグルがあると万全です。

軽い力でバッテリーが持ち上げることができる感じがベストです。

すべてのバッテリーセルが軽い力で持ち上げられるようになったら、バッテリーを慎重に引き抜きます。

さて、まだまだ続きます。地味な作業。
次は残った接着剤を取り除きます。
ここでは接着剤を取り除く2つの方法を紹介します。

ピンセットなどで、接着剤を巻き取るようにクルクルと取り除く方法があります。

クルクル。

クルクル…。楽しい(と思った方がいいでしょう)。

また、IPAをスパッジャーに数滴付け、事前に接着剤の上に少量散布して、待つこと30秒。そのあと、スパッジャーの平たいほうで、端っこから突っついていく方法もあります。

ボトムカバーが綺麗になったところで、ついに新しいバッテリーを開封してみます。

バッテリーはAmazonで購入しました。小さな薄い箱で届きました。

今回購入したのはWorldPlusのバッテリーです。

箱自体は茶箱ですが、ラベルにはいろいろ書いてあります。

裏面。

なお、箱を綺麗に開けたいという方は、よく箱を観察して、ラベルにそっと切れ目を入れるといいでしょう。
この箱は2か所のロックがあり、軽く切れ目を入れることで開けやすくなります。

さて、中はこんな感じ。
注意を記した用紙と、2本のドライバー、そしてバッテリーが入っていました。
バッテリーには透明のフィルムが付いています。このフィルムはボトムカバーに張り付けるまで、剥がしてはいけません。

ではいよいよバッテリーをボトムカバーに張り付けていきます。
バッテリーの裏面にある剥離紙を剥がし、バッテリーをセットします。

バッテリーが正しい位置に配置できたことを確認し、バッテリーが剥がれ落ちないようにしっかりと各バッテリーセルを押し付けます。

ここまでの作業ができたら、あとは逆の手順で組み上げていきます。

MacBook 2017に新しいバッテリーを取り付けた様子
MacBook 2017に新しいバッテリーを取り付けた様子

お疲れ様でした!

なお、もしMacBook 2015 (MacBook (Retina, 12-inch, Early 2015))をご利用の方で、この記事を参考にバッテリーの交換をされた方は、電源を入れる前に、初回のみ必ず低電圧電源に繋いでください。
ロジックボードに非可逆的な損傷を与える可能性があります。詳しくは「作業を完了させる」をご覧ください。
(MacBook 2016や2017をご利用の方は行う必要はありません。)

MacBook (Retina, 12-inch)のメモリの増設について

MacBook (Retina, 12-inch, 2017)はメモリの交換や増設ができません。

MacBook (Retina, 12-inch)のSSD換装と増設について

MacBook (Retina, 12-inch, 2017)では内部的にはPCIeで接続されていますが、オンボードのために交換や増設ができません。

作業を完了させる

バッテリーを交換した後は、分解した際とは逆の手順で慎重に組み上げていけば大丈夫です。

MacBook 2015で分解を行った方は

もしMacBook (Retina, 12-inch, Early 2015)のバッテリーの交換をされた方は、電源を入れる前に初回のみ必ず低電圧電源に繋いでください。(MacBook 2016や2017の方は行う必要はありません。)

このステップを行わないとMacBook 2015のロジックボードに非可逆的な損傷を与える可能性があります。

用意するもの

MacBook 2015を充電する

MacBookにUSB-C to USB-A 2.0 ケーブルを差し、iPhone に付属しているような5WのUSB 電源アダプタに繋いで充電を行います。

この時、充電開始の音と画面に充電のロゴが出たことを確認します。

なお、低速な充電となりますので、もしもバッテリーに十分な充電がない場合には、充電開始の音や充電のロゴが出るまでに15分程度かかる場合があります。

充電開始の音や充電のロゴが確認出来たら、MacBookを起動させます。
通常通り電源がオンになったことが確認出来たらMacBookを充電器から外し、通常に利用ができます。
もちろん、以後の充電からは普通に充電しても大丈夫です。

以上、MacBook 2015で分解をされた場合の起動方法でした。

トラブルシューティング(バッテリーの交換がうまくいかない時は)

バッテリーを交換した際に、トラブルが発生した際の解決策を紹介します。

バッテリーが認識しない

システムレポートを開いた際、バッテリーを認識していない(下図のようにシステムレポート上で全くバッテリーを認識しないトラブルの他にも「バッテリー装着: いいえ」になっているにも関わらずバッテリーのシリアル番号を認識しているケースや、電源を抜いても、使用できるのにシステムレポートでバッテリーを認識しないトラブルなども該当します。)場合には、SMCをリセットするかバッテリーのコネクタ部にゴミなどがないことを確認しましょう。

MacBook 2017はT2セキュリティチップを搭載していないMacなので、こちらの記事を参考にSMCをリセットしてみてください。

SMCをリセットしても改善しない場合には、バッテリーのコネクタにゴミが混入している場合や、コネクタがズレていないか、ネジが緩んでいないかを確認しましょう。

自動起動が使えない

作業が完了し、Auto Bootを再度有効にしたい場合には、ターミナルに下記のコマンドを入力し、return(Enter)キーを押下します。

sudo nvram AutoBoot=%03

まとめ

いかがでしょうか。

無事にMacBookのバッテリーの交換は完了しましたか?
大変お疲れ様でした。

Macの修理というよりかはiPadの修理みたいな雰囲気でしたね。
細かい作業が多く、時間や神経を使いますので、是非広いスペース、静かな環境で、十分に時間があるタイミングで作業が行えるといいですね。

では、引き続き楽しいMacライフを!

また次の記事でお会いしましょう!

2022.02.10 アクセシビリティの改善とタグの追加を行いました。