FacebookやInstagramといったSNSを展開するMeta(Meta Platforms, Inc.)はTwitterの対抗馬となる短文共有サービスの「Threads」を日本時間では7月6日午後11時にリリースするとしています。
このThreadsは2023年3月頃からその開発が噂されており、6月中旬にはより詳細な情報がリークされていました。この6月中旬のリーク情報では、新しいSNSは7月中旬から末頃と囁かれていただけに、このタイミングでの発表は7月1日から発生しているTwitterの混乱により発表が早まったとも受け取れます。
Threadsがユーザから収集する情報量の多さにジャック・ドーシー氏が揶揄
さて、そんなMetaから登場する新しいThreadsですが、収集する情報の量にTwitterの共同創業者で元CEOのジャック・ドーシー氏が2000年初頭に流行したネットミーム(AYB)で揶揄し、渦中のイーロン・マスク氏が雑に反応していることが話題になっています。
ジャック・ドーシー氏はTwitter上で、AppStoreで掲載されているiOS向けの「Threads」のスクリーンショットを添付した上で「All your Threads are belong to us」と投稿し、イーロン・マスク氏は「Yeah」とだけ反応しました。
確かに、iOS版のTwitterアプリと比較しても、MetaのThreadsがユーザから収集する情報量は多彩であることが分かります。
Metaは兼ねてよりユーザの行動や情報を多く収集することで知られており、過去にはFacebookからログアウトした後も、デバイスの使用履歴を収集していた問題など個人情報収集巡る問題で度々提訴されています。
このプライバシーの考え方は米Appleとも対立の原因となっており、このThreadsで汚名返上となるか注目が集まります。
Metaの過去の行いからThreadsへの否定的な声も上がっており、本件についても再び大きな問題になるかもしれません。
コラム: ジャック・ドーシー氏が呟いたツイートの意味
Threadsがユーザから収集する情報の量を揶揄したジャック・ドーシー氏が呟いたツイートの内容ですが、これにはどのような意味が含まれているのでしょうか?
ジャック・ドーシー氏が同ツイートでThreadsが収集するデータの種類を示すスクリーンショットとともに「All your Threads are belong to us」と呟きました。
「All your Threads are belong to us」というのは2000年初頭に流行ったネットミーム、「All your base are belong to us」(「君達の基地は、全て我々がいただいた。」を微妙にした感じの英文)をテンプレート的に用いたものです。
詳しくは後述するミームの起源を参照いただければと思いますが、同氏「All your base are belong to us」のフレーズをそのまま使うのではなく、その一部を「Threads」と変更しています。
つまり、Metaがユーザの「全てのスレッド(Threads)」を「所有」しているという意味になります。これはMetaがユーザのデータを所有、制御するという考え方を暗に批判していると解釈できます。
特にTwitterの共同創業者であり、一時的にCEOも務めていた同氏としては、SNSにおけるプライバシーとデータの取扱いについて深い理解を持っているはずです。そのため、このツイートはMetaの新しいプラットフォームのデータ収集に対する彼の批判的な視点を示していると考えられます。
ミームの起源
このミームの起源は、1991年に株式会社東亜プラン(TOAPLAN)が制作したメガドライブゲーム、「ゼロウィング」(Zero Wing)までさかのぼります。「Zero Wing」は日本で開発されたゲームで、その英語版の翻訳が話題となりました。その翻訳は不自然であり、まるでロボットが行ったかのような、機械的で不完全なものでした。
この中で最も有名なのが「All your base are belong to us」というフレーズでした。ゲーム内の敵キャラクタであるCATSがこれを発するシーンは、英語としての文法的な間違いと翻訳の稚拙さからゲームプレイヤーの間で話題になりました。CATSの原文の台詞は次の通りです。
「How are you gentlemen!! All your base are belong to us. You are on the way to destruction.」
ミームが意味するものと文化的影響
「All your base are belong to us」は、敵に完全に支配された、または敗北が確定した状況を示すシンボルともなりました。このフレーズの出現は、インターネットの成長とともに形成された共有体験の一部を示しています。
また、「All your base are belong to us」は、デジタル時代の「言葉の力」を象徴しています。これは、インターネットが新しい文化形態をどのように生み出し、広めることができるかを示す貴重な事例です。
そして、それがインターネット文化の一部として定着した今日でも、このフレーズはネットにおける古典的なミームとして引用され続けています。
ジャック・ドーシー氏のツイートはマーク・ザッカーバーグ氏にはどのように映ったのだろうか。
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