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OpenCore Legacy Patcher、2024年冬までにmacOS 15 Sequoia対応を目指す

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OpenCore Legacy Patcher、2024年冬までにmacOS 15 Sequoia対応を目指す

Appleが6月に開催したWWDC 24で発表した次世代macOS、macOS 15 Sequoiaに向け、OpenCore Legacy Patcherを開発するDortaniaは旧型Macユーザーに向けたロードマップをGitHub上で発表しました。同発表では2024年冬までにOpenCore Legacy Patcher(OCLP)2.0.0をリリースし、macOS Sequoiaへの対応を目指しているとしました。

この発表ではOpenCore Legacy PatcherでのmacOS 15 Sequoiaのサポートにあたって、現状の障壁や課題について明らかにしています。

macOS 15 SequoiaのサポートについてのGitHub上の発表

現状の課題とは

T2チップ搭載のMacBook Airのタイムアウト問題

MacBook Air (2018/19) シリーズ(MacBookAir8,x)に搭載されているT2チップは、OpenCorePkgを使用して起動する際に重大な通信エラーを引き起こします。この問題は、AppleKeyStore.kextがT2チップからの応答を待ってタイムアウトすることに起因し、カーネルパニックを誘発するとのこと。

ログ詳細

発表の中で紹介されていた以下のログは、タイムアウトの発生を示しています。

"AppleKeyStore":3212:0: sks timeout strike 18
"AppleKeyStore":3212:0: sks timeout strike 19
"AppleKeyStore":3212:0: sks timeout strike 20
panic(cpu 0 caller 0xffffff801cd12509): "AppleSEPManager panic for "AppleKeyStore": sks request timeout" @AppleSEPManagerIntel.cpp:809

この問題はmacOS Sequoiaだけでなく、macOS VenturamacOS Sonomaでも確認されています。現時点で、T2チップの問題を解決する具体的な方法は見つかっておらず、原因の特定にはさらに時間がかかると見られています。

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MacPro3,1デュアルソケットサポートの課題

2008年モデルのMacPro3,1は、デュアルソケットCPUの不具合によりmacOS Sequoiaの起動に失敗しています。この問題は、CPUパニックを引き起こし、システムの起動を阻害します。

ログ詳細

発表の中で紹介されていた以下のログは、デュアルソケットに関連するCPUパニックを示しています。

processor_boot(): missing for cpu 4 @processor.c:876

この問題の一時的な解決策として、シングルソケットに制限するためにcpus=4のブート引数を使用する方法が提案されています。しかし、これはあくまで暫定的なものであり、根本的な解決策はまだ見つかっていません。問題の原因は、ファームウェアやACPIテーブルの互換性にあると考えられています。

その他の技術的課題

Dortaniaチームは、macOS Sequoiaにおいて一部のパッチが部分的または完全に機能しなくなっていることを確認しています。これらのパッチの更新作業が進行中です。

  • グラフィックス:
    • Metal 31001:
      • Intel Broadwell、Skylake、AMDレガシーGCNおよび非AVX2.0対応のモダンGCN
    • Metal 3802:
      • Intel Ivy Bridge、Haswell、Nvidia Kepler
    • Non-Metal:
      • Intel Iron Lake、Sandy Bridge、AMD TeraScale、Nvidia TeslaおよびWeb Drivers
  • ワイヤレス: 各種ワイヤレス関連のパッチが必要
  • T1チップ: T1チップに関連するパッチの更新が必要
  • USB 1.1: USB 1.1のサポート更新が必要

今後の開発と気になる情報も

Dortaniaは、2024年冬までにOpenCore Legacy Patcher v2.0.0をリリースすることを目指していますが、複雑な技術的課題が多いため、正確なサポート時期を保証することは難しいと述べています。

また詳細は不明なものの、OpenCore Legacy Patcherのプロジェクトリーダであるミコラ氏は手術を控えており、7月は開発が一時的に停滞すると発表しました。8月から再開されるとのことですが、まずはミコラ氏の手術が無事に終わることを願いたいと思います。

まとめ

OpenCore Legacy PatcherがついにmacOS 15 Sequoiaのサポートに向け正式に計画を発表しました。

同発表内ではmacOS 15 Sequoiaについてサポートが終了されるMacが少ないと評価する一方で、現状の課題についてT2チップ周りやMac Pro 2008のデュアルソケットサポートなどに懸念があるとしました。

また、ミコラ氏の手術についても言及があり、これによって7月の開発は少し減るなどの影響があるとしました。とはいえ、まずはミコラ氏の体調面が心配で、無事に手術いくことをを願っております。

この秋公開される予定のmacOS Sequoia、これからがさらに楽しみになるニュースでした。

弊ブログ(あのかぼ)と姉妹メディア(おんかぼ)では引き続き、OpenCore Legacy Patcherの最新情報やmacOS Sequoia関連のニュースを紹介していきます。記事の更新については、かぼしーのTwitterアカウントHumin.meで紹介しますので、ぜひフォローいただけると幸いです。

macOS Sequoia and OpenCore Legacy Patcher Support #1136 (GitHub)