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OCLP 3.0.0はまだ出ない?Intel Mac最後のmacOS「Tahoe」とOCLPの今。2026年3月中旬時点で分かっていること

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OCLP 3.0.0はまだ出ない?Intel Mac最後のmacOS「Tahoe」とOCLPの今。2026年3月中旬時点で分かっていること

OpenCore Legacy Patcher(OCLP)は、Appleのサポート対象から外れたIntel Macで新しいmacOSを動かすための代表的なプロジェクトとして、長く注目を集めてきました。実際、これまでのOCLPは、macOSのメジャーアップデート後に比較的早い段階で対応版が登場することも少なくありませんでした。

しかし、Intel Mac最後のmacOSと位置づけられたmacOS Tahoeでは、これまでとは空気が違います。Dhinak G氏は2025年6月、GitHub上で OCLP による macOS Tahoe対応は 「次の冬ごろ」 としていましたが2026年3月13日時点でGitHubの正式リリース一覧に3.0.0は存在せず、最新正式版は去年9月にリリースされた OCLP 2.4.1 のままです。OCLPがサポートするmacOSも macOS Sequoiaまで にとどまっています。

OpenCore Legacy Patcherのメインメニュー。メインメニューにはOpenCore Legacy Patcher 2.4.1と記載されており、その下にはターゲットモデルであるMacmini7,1との表記がある。

では、OCLPのmacOS Tahoeのサポートに向けた開発は止まってしまったのでしょうか。それとも今回は、これまで以上に難しい技術課題に直面しているのでしょうか。OCLP による macOS Tahoe対応をまとめたissueでは、T2搭載Intel Macの扱い、Wireless、T1、USB、AppleHDA削除による音声問題、Fusion Drive、FileVault、さらにLiquid Glassに絡む描画まわり まで、複数の課題が並んでいます。さらに2025年12月には、macOS Tahoeを見据えた modern wireless patchset の公開PRや、関連する PatcherSupportPkg 1.9.6 の更新も確認できます。

本稿では、2026年3月中旬時点でGitHubなどの公開情報から入手できる事実をもとに、OCLPによるmacOS Tahoe対応の現状、今回は何が違うのか、そしてIntel Macユーザーは今どう考えるべきか を詳しくまとめます。

OCLP 3.0.0はまだ出ていない。

現時点で入手可能な最新リリースはOCLP 2.4.1です。
公開されているリリースノートでは、この版はインストーラ取得まわりの不具合修正に加え、Apple PayやT1関連、USB 1.1カメラ、GUIのCPU使用率改善などを含むものとして説明されており、同時に「macOS Sequoiaのサポートは現在も開発中です。」(macOS Sequoia support is still in active development)と案内されています。(GitHubより)

OCLPのREADMEでも、OCLPの代表的な対応OSとして並んでいるのはmacOS Big Sur、Monterey、Ventura、Sonoma、Sequoiaまでです。Tahoeはこの一覧にまだ入っておらず、公開されているドキュメントでも、Tahoeをサポートしているという表記は見つかりません。

macOS Tahoeサポートに関する発表からのOpenCore Legacy Patcher 開発のタイムライン

Dhinak G氏は何を案内していたのか

OCLPによるmacOS Tahoe対応に関するアナウンスを行っているのは、2025年6月30日に公開されたissue #1167「macOS Tahoe 26 and OpenCore Legacy Patcher Support」です。このissueでDhinak G氏は、macOS Tahoe 26がIntel Macをサポートする最後のmacOSだとしたうえで、今秋に向けてパッチャーが越えるべき課題をまとめています。そして「毎年のことなので約束はできないが、目安としては次の冬にOCLP v3.0.0を望む」と書いています。

なぜ今回は遅いのか。macOS Sequoiaサポートと何が違うのか

今回の重さを理解するには、前年のSequoia対応issue #1136との対比が分かりやすいです。Sequoia対応では、開発側は当初「Catalina以来でもっとも穏やかなリリースの一つ」と表現し、サポート終了モデルも2018/2019 MacBook Airの2機種に限られていました。しかもissue本文では、その後にGraphics、Wireless、T1、USB 1.1といった項目の多くが解決済みとして比較的早期のうちに打ち消し表示されています。

それに対してTahoe対応issue #1167では、iMac19,1/19,2、iMacPro1,1、MacBookAir9,1、Macmini8,1、MacBookPro15,x、MacBookPro16,3といった追加のIntel Macが一覧化され、しかも「最後のT2レスMacまで落とされた」と説明されています。Sequoiaが「比較的穏やかな年」だったのに対し、Tahoeは未サポートになったIntel Macの中心が、より手強いT2世代へ一気に移った年だと見るべきです。

これまでは「新OSに合わせて既存パッチを調整する」色合いが比較的強かったのに対し、macOS Tahoeではそもそも相手にする未サポート機の顔ぶれが変わったため、毎年の延長線だけでは語れません。今回の遅れは、単なる作業量の問題というより、難所の質が変わったことの表れです。

最大の難所は、やはりT2搭載Intel Macです

macOS Sequoia対応issueでも、開発側は2018/2019 MacBook Airに関して、OpenCorePkg経由で起動した際にT2との通信がうまくいかず、AppleKeyStore/AppleSEPManager系のpanicが発生すると説明していました。しかもこれはmacOS SequoiaだけでなくVenturaやSonomaでも確認されており、根本に近い層の問題だとされていました。

macOS Tahoe対応issueでも、そのT2問題は中心課題のままです。Dhinak G氏は、T2マシンはOpenCorePkg経由でOSを起動するとpanicを起こし、ある程度の進展はあっても、まだインストール画面に到達する前の段階で大きな開発作業が必要だとしています。さらに、T2機が「いつサポートされるか」の見積もりも出せないと明言しています。これは、Tahoe対応のボトルネックが細かい不具合修正ではなく、起動成立そのものに近い層にあることを意味します。

しかもTahoeでは、そのT2問題が一部モデルだけの論点ではありません。追加でサポート対象から外れた機種群の中心にT2世代が多く含まれるため、難しいモデルが例外ではなく主役になってしまったのが今回の厳しさです。ここが、これまでの「新OS直後でも意外に早く形になる年」とは決定的に違うところです。

macOS Tahoe対応では、T2以外にも重い課題が同時に発生している

Tahoe対応issue #1167を見ると、今回の問題はT2だけではありません。たとえばiMac19,xの音声については、Tahoe beta 2でAppleがAppleHDA.kextを削除したため、これを戻せば解決する可能性はあるが、まだ検証が必要だとされています。さらにFusion Driveは、AppleがTahoeでサポートを外した結果、split volumesとして見える状態になっており、復元できるかどうかも不明とされています。

FileVaultも障壁の1つです。macOS Tahoe issueでは、インストールに伴ってFileVaultが自動的に有効化され、ボリューム復号まわりの問題が報告されていると説明されており、Sequoiaのapfs.efiで解決できる見込みは示されているものの、こちらも「未テスト」です。つまりTahoeでは、起動、音声、ストレージ、暗号化と、OSの土台に近い部分で課題が並行しています。

さらに描画系では、Tahoeで導入されたLiquid Glassが新たな負荷になっています。Tahoe issueでは、Metal 31001、Metal 3802、Non-Metalの各層で初期的な結果が示される一方、non-MetalではLiquid Glassそのものは再現できず、代わりに使えるUIへ持っていく回避策を実装するとされています。

そのうえで、一般パッチの更新項目としてWireless、T1 Chip、USBが並んでいます。言い換えれば、macOS Tahoe対応の遅れは単一の大問題ではなく、複数の重要課題が一度に重なっている結果です。

それでも、公開作業が完全に止まったとは言い切れない

正式版が出ていないことだけを見ると、OCLPの開発が止まっているように見えるのは事実です。
ですが、公開されているPRやその他の更新を見る限り、macOS Tahoeを見据えた作業自体がゼロになったわけではありません。 その代表が、2025年12月24日にDhinak G氏がmainへマージしたPR #1178「Implement new modern wireless patchset」です。ここでは、macOS SequoiaとTahoeで、従来よりスリム化したmodern wireless patchsetを使うことが明記されています。

mainブランチ上のCHANGELOG.mdにも、未リリースの2.5.0として「dirty root volumeの再パッチ防止」と「Modern Wireless向けのスリム化パッチセット」が記載されています。加えて、関連リポジトリのPatcherSupportPkg 1.9.6は2025年12月24日に公開され、説明文も“Add streamlined WiFi patchset for macOS 15.0+”となっています。少なくとも2025年末時点では、macOS TahoeやSequoia向けの下ごしらえが続けられていたことは確かです。

もう一つ注目したいのが、ドラフトPR #1176「Update macos-next with various patches」です。このPRでは、非メンテナー向けの説明として、AppleHDAは現状KDKなしでは動かずroot volumeへ統合が必要であること、さらにUSBトラックパッドを持つ機種でpanicを防ぐためのIOHIDFamily patchが含まれることが書かれています。完成版には至っていないものの、Tahoe対応が抽象論ではなく、具体的な音声・入力パッチとして詰められていたことはここから読み取れます。

さらに現状として、GitHub上ではpull requestsが3本表示されており、Actionsの一覧にも#1176、#1177、#1181に紐づくワークフロー実行が並んでいます。これだけで「順調」とまでは言えませんが、少なくとも公開リポジトリが完全に停止しているという見方は当てはまりません。

2026年に入ってからも、Dhinak G氏は1月25日に立てたissue #1182で、別件ながら「2.5.0がリリースされた後に見る予定」と記しています。これはmacOS Tahoeサポート完了を意味するものではありませんが、OCLPのメンテナーの認識として「次のバージョン」がまだ前提になっていることは確かです。

ミコラ氏のApple移籍は影響しているのか?

背景として無視できないのが、共同創設者のMykola Grymalyuk氏です。同氏は2025年6月、自身がAppleのBug Bountyチームに参加し、OCLPでの役割からstep downするとXで表明しました。体制が変わったのは事実であり、この変化がプロジェクトに無関係だったとは言えません。

ただし、ここをそのまま「だからOCLPが止まった」と結論づけるのは飛躍です。実際、最新正式版2.4.1はDhinak G氏名義で公開され、PR #1178も同氏がマージしています。体制変化は要因の一つとして見るべきですが、macOS Tahoe対応の重さを理解するうえで本質なのは、やはりT2、音声、Fusion Drive、FileVault、Liquid Glass、Wireless/T1/USBが同時に絡む技術的難度の高さです。

Intel Macユーザーは、今どう考えるべきか

2026年3月13日時点の情報から言えば、macOS Tahoeを前提に今すぐ動く段階ではありません。
正式版のOCLP 3.0.0はまだ存在せず、最新正式版OCLP 2.4.1のメッセージもまだmacOS Sequoiaの改善と安定化に重心があります。

一方で、macOS Tahoe対応を悲観し切るのもまだ早いでしょう。macOS Tahoe対応に関するissueそのものは継続しており、2025年末のPR群やPatcherSupportPkg 1.9.6、2026年1月の2.5.0言及を見る限り、「次の段階」を前提にした動きは残っています。
いま見るべきなのは、3.0.0あるいは2.5.x系の正式版が出るか、Tahoe issueに進展が追記されるか、そしてTahoe向けPRが実際にまとまるかどうかです。

まとめ:OCLPのTahoe対応は「停止」ではなく、「別物の難しさ」に直面している

OCLPのmacOS Tahoe対応を執筆時点(2026年3月13日)で最も正確に表現するなら、「未公開のまま止まっている」のではなく、「これまで以上に重い課題が重なり、正式版としてまとめ切れていない」状態です。OCLP 3.0.0はまだ出ておらず、macOS Tahoe正式対応に関する具体的なロードマップも確認できません。
しかし同時に、GitHub上のmacOS Tahoe issueでは課題が具体的にまとめられており、2025年末にはWirelessや音声・入力まわりの改善が行われました。

過去のOCLPは、毎年のように「今回は厳しいのでは」と言われながら、最終的には形にしてきた実績があります。ただ、macOS Tahoeでは未サポートになったIntel Macの中心がT2世代へ移り、そこにAppleHDA削除、Fusion Drive、FileVault、Liquid Glass、Wireless/T1/USBの更新まで重なっています。今回がこれまでと違って見えるのは当然であり、今のOCLPはまさにIntel Mac時代の最後をどう支えるかという正念場にあります。

新生OCLPチームに注目が集まります。