「あのかぼ」のスピンオフサイト「ゼロかぼ」ができました。 詳しくはこちら>

OCLPをベースとしながらOpenCoreではなくCloverを活用した「Clover-OCLP」と「Clover-OCLP-Duet-Legacy」が爆誕

Mac

OCLPをベースとしながらOpenCoreではなくCloverを活用した「Clover-OCLP」と「Clover-OCLP-Duet-Legacy」が爆誕

Appleからのサポートが終了したMacにmacOS Sonoma などの最新のmacOS をインストールし利用可能にするプロジェクト、OpenCore Legacy Patcher(OCLP) に注目すべき(?)新たなバリエントがGitHubで公開されました。

新しく始動した「Clover-OCLP」と「Clover-OCLP-Duet-Legacy」はOCLPをベースにしながらOCLPのバックボーンとなるAcidantheraが開発する「OpenCore (OpenCorePkg)」 ではなく、HackintoshではOpenCoreとともに根強い人気のある「Clover (Clover Bootloader)」を活用した新しいプロジェクトです。

目次

「Clover-OCLP」と「Clover-OCLP-Duet-Legacy」とは?OpenCore Legacy Patcherとの関係は?

「Clover-OCLP」と「Clover-OCLP-Duet-Legacy」はいずれもchris1111 氏が開発しています。chris1111氏は、Hackintosh関連のツールなどの開発で知られ、直接的にはOpenCoreの開発者ではありませんが、OpenCore関連のツールの開発を行う他、Clover BootloaderのGitHubリポジトリは開発者と貢献者として記載されています。

Dortaniaが開発するオリジナルのOpenCore Legacy Patcherは執筆時点で1,100を超えるフォークがあり、「Clover-OCLP」はその1つです。

そして「Clover-OCLP-Duet-Legacy」は「Clover-OCLP」で使用するために構成されたEFIで、3月30日にClover Bootloaderの最新版としてリリースされたClover Release 5158をベースとしています。

現時点ではドルタニアが開発するオリジナルのOpenCore Legacy Patcherと比較して導入は煩雑な部分が多くCloverを使用したいユーザ以外は引き続きオリジナルのOCLPがお勧めです。

「OpenCore Legacy Patcher」と「Clover-OCLP」の違い

フォーク元の「OpenCore Legacy Patcher (OCLP)」と「Clover-OCLP」との最大の違いは、前述の通り、バックボーンとして「Clover (Clover Bootloader)」が使用されていることです。ただ、これ以外にも「Clover-OCLP」にはOCLPにはない独自のカスタマイズが加えられています。

注目すべき変更はClover-OCLPの「Update sys_patch_detect.py」というコミットにあります。

AMFI設定はClover-OCLPがすごい?

OpenCore Legacy Patcherでは、特定のGPU (例: NVIDIA KeplerやAMD TeraScaleなど)でmacOS Venturaなどの最新のmacOSをインストールする際に、AMFI(Apple Mobile File Integrity)を無効にする必要がありました。

Clover-OCLPでは、これを無効にする設定が削除されており、システムのセキュリティを保ちながら互換性を維持することを目的としています​

オリジナルのOCLPにもOCLP 0.6.6以降にはAMFIPassという機能が組み込まれており、AMFIを無効にせずに、macOS上で非公式のパッチやドライバを動作させる機能が備わっていますが、Clover-OCLPはAMFI関連について先んじている可能性があります。

モダンWi-Fiサポートの追加?

modern_wifi フラグが False から True に変更されています。現時点では、Clover-OCLPでmodern_wifiフラグが変更された理由についての具体的な情報は入手できませんでしたが、新しいWi-Fiチップセットや機能をサポートするための準備が行われている可能性があります。

「OpenCore-Patcher」のインストーラにはアンインストーラ機能も

OpenCore Legacy Patcher 1.5.0 以降の大きな変更点としてPKGベースのインストーラが追加され、これが今後の標準配布形式となりました。

このClover-OCLPも同様にPKGベースのインストーラが使用され、非推奨になったとはいえ.app形式も配布されているオリジナルのOCLPと異なり、これが唯一の配布形式となります。

さらにOCLPとClover-OCLPとで異なるのは、このインストーラにアンインストーラ機能も付属していることです。OCLP 1.5.0 以降ではアンインストーラ用のPKGも配布されていますが、Clover-OCLPはインストーラに内蔵されており、インストール先の選択画面にOCLPにはない「カスタマイズ」ボタンがあります。

この「カスタマイズ」ボタンをクリックすると標準では「インストール」が選択されていますが…

アンインストーラもあり、これ1つでインストールとアンインストールが行えます。

1つのパッケージでインストールとアンインストールが行えるため便利な反面、アンインストールにもフルサイズのパッケージをダウンロードする必要があるのが難点です。

ただ、OCLPとの違いとしては大変興味深く、素晴らしい変更点だと思います。

一方でAppleの公証や署名に難点も

現在GitHubで公開されているClover-OCLPの最新バージョンは「V2」先日公開されたOpenCore Legacy Patcher 1.5.0のナイトリ―ビルド(Nightly build)をベースにしています。

利用できるパッケージはPKGベースのインストーラで、オリジナルのOCLPと同様にインストールが行えますが、執筆時点ではClover-OCLPには有効な署名証明書(Developer ID証明書)がありません。特にOCLP 1.5.0以降で導入された「特権ヘルパー ツール」はコード署名チェックを無効にすると、悪意のあるアプリケーションにルートとしてコードを実行する権限が付与されてしまう危険性があります。

この問題を解決するにはApple で開発者アカウントを作成し、独自のDeveloper ID証明書を取得した上で、ci_tooling/privileged_helper_tool内の「main.m」にあるVALID_CLIENT_TEAM_IDを取得したApple DeveloperアカウントのチームIDに変更し、ビルドする必要があります。

関連> OpenCore Legacy Patcherを自分でビルドして使用する方法

執筆時点でVALID_CLIENT_TEAM_IDを確認するとDortaniaが取得したチームIDが使用されており、これが原因で、macOSのセキュリティ機能「Gatekeeper」が作動します。

今後の開発に期待したい超新星「Clover-OCLP」

ここまでOpenCore Legacy Patcherのフォークとして登場したchris1111 氏が開発する「Clover-OCLP」について紹介しました。

実はClover-OCLP登場以前にもOpenCore Legacy PatcherとClover Bootloaderの融合を匂わせるプロジェクトはありました。それはOpenCore Legacy Patcherの貢献者として知られるJazzzny 氏の「Clover-Legacy-Patcher」です。(プロジェクトの名称はすごくいいですよね。)

ただ、今回のchris1111 氏が開発する「Clover-OCLP」は既に動作が確認されており、マニュアルの作成も順調に進んでいます。現時点ではAppleの公証や署名に難点がありますが、HackintoshでCloverに慣れている方にはトラブルシューティングがしやすく、メンテナンスがしやすいかもしれません。

現時点ではオリジナルのOpenCore Legacy Patcherがお勧めですが、もしかしたらCloverベースのOCLPが台頭するかもしれません。今後の開発に注目したいです!

弊ブログ(あのかぼ)と姉妹メディア(おんかぼ)では引き続き、OpenCore Legacy Patcherの最新情報やmacOS Sonoma関連のニュースを紹介していきます。記事の更新については、かぼしーのTwitterアカウント新着記事告知用のTwitterアカウントで紹介しますので、ぜひフォローいただけると幸いです。

また、現在OpenCore Legacy Patcher専門サイト「OCLP.net」でも執筆中です。ぜひ合わせてご覧ください。