今回はOpenCore Legacy Patcher を利用してBig Sur非対応機種にBig Surをインストールした際に発生しうるトラブルとその解決策について見ていきたいと思います。
なお、実際の導入方法につきましては下記投稿をご覧ください。
- macOS Big Sur非対応機種にOpenCore Legacy Patcherを使ってインストールする(メディア作成編)
- macOS Big Sur非対応機種にOpenCore Legacy Patcherを使ってインストールする(インストール編)
- macOS Big Sur非対応機種にOpenCore Legacy Patcherを使ってインストールする(パッチ適用編)
目次
インストール前のトラブル
現在調査中です。
インストール後のトラブル
日本語入力ができない
この問題はCatalinaより日本語入力関連のJapaneseIM.appやFrameworkがAVX命令セットを利用しているために発生しています。つまりAVXをサポートしていないCPUを搭載しているすべてのMacで発生します。
これを解決するためには、Mojaveから特定のFrameworkやDynamic Library、JapaneseIM.appなどを移植する方法などがありますが、安定性に欠ける点や、アップデート毎に作業をし直さなければいけないなど運用には困難を極めます。
仕方ないので、ことえり、改め日本語入力プログラムは諦めて、Google 日本語入力(Mozc)のご利用をお勧めします。
導入方法はBig Sur 向けの記事が用意できるまで、こちらの記事をご参照ください。
インストールまではできたものの起動ができない
内蔵ストレージのEFIにOpenCore Legacy Patcher がインストールされていないか、起動先が間違っている可能性があります。インストール時に使用したUSBメモリが手元にあれば、一度Macの電源を切ってoptionキー(altキー)を押しながら立ち上げます。
Startup Managerが立ち上がったら、「EFI Boot」を選択してEnterキーを押します。
するとOpenCore Legacy Patcher のブートピッカーが立ち上がりますので、Big Sur をインストールをしたボリュームを選択します。
これで起動する場合には、「macOS Big Sur非対応機種にOpenCore Legacy Patcherを使ってインストールする(インストール編)」の「OpenCoreをMacにインストールする」項を参考に今一度OpenCoreがMacにインストールできているかを確認しましょう。
もしこれで起動しない場合には、Big Sur のインストールに失敗しているか、ハードウェアに問題がある可能性があります。
例えば、iMac (Mid 2007) :iMac7,1やMac Pro (Early 2008) :MacPro3,1 では搭載しているハードウェアを起因としたカーネルパニックが発生する可能性があります。
「Bluetoothが利用できない」項や「カーネルパニックを起こし、動作が停止する」項をご参照ください。
DockやFinderなどの色がおかしい
グラフィックアクセラレーションに問題がある可能性があります。
macOS Mojave以降、システムのアニメーションの描画などにMetal APIを使用しているため、Metal非対応GPUでは描画に時間がかかるなど、快適に使用できない場合があります。
この問題はOpenCore Legacy Patcher に同梱されているLegacy GPU Acceleration Patch を当てることで改善が期待できます。ただし「これによりGPUがMetalをサポートする」、と言ったモノではないとともに、差分アップデートが利用できなくなったり、FileVaultを有効にしたりすることができなくなります。Mac ProやiMac 2009~2011などをご利用中の方につきましては、Metal対応のGPUへ交換されることもご検討いただければと思います。
(2021.11.30追記)ただし、取り付けるGPUがMetalをサポートしていても、組み合わせや機種により動作しないトラブルについてご報告を頂きました。
GPUを換装される場合にはサポートされるモデルをご確認ください。
やや古い記事ですがiMacのGPUを交換した際のレポートはこちらです。
> iMac (27-inch, Mid 2011) のGPU交換
また、Legacy GPU Acceleration Patchの適用方法は是非こちらをご覧ください。
> macOS Big Sur非対応機種にOpenCore Legacy Patcherを使ってインストールする(パッチ適用編)
アニメーションの挙動やパフォーマンスが著しく悪い
「DockやFinderなどの色がおかしい」項と同じ問題かもしれません。
ただし、きちんとパッチが当たったにも関わらず、それでも動作が遅い、という場合には、ストレージやメモリがボルトネックとなっている場合があります。カスタマイズができるモデルの場合はストレージを換装するかメモリを増設して様子を見てみましょう。
例えば、メモリが2GBや4GBの場合ではさすがに厳しいと思います。またSSDに交換できる場合には換装を強くお勧めします。快適に動作する機種、しない機種の詳細は「OpenCore Legacy PatcherでBig Surを導入できる機種と操作性について」にまとめましたので、ぜひご覧ください。
またSSDやメモリ交換方法については下記をご覧ください。
なお、「対応記事」は「機種名」と一致していない場合がありますが、大まかな手順については変わりません。
ただし、MacBook やMacBook Proを除くiMacなどのシリーズについては(特にSSDの感想をする場合には)配線などが一部違う場合があります。適宜読み替えていただき、慎重に作業してください。またパーツのリストについては細心の注意を払って記載したつもりですが、自己責任にて作業、ご購入をお願いいたします。
MacBook
機種名 | 対応記事 | 対応パーツ | 特記事項 |
---|---|---|---|
MacBook (13-inch, Late 2009) | メモリ交換方法 | SO-DIMM PC3-8500 (4GB x 2) SO-DIMM PC3-8500 (4GB x 1) SO-DIMM PC3-10600 (4GB x 1) SO-DIMM PC3-10600 (4GB x 2) | 公称最大容量 4GB ただ8GBまで動作しました。 メモリクロックも本来1066MHzですが、 1333MHzでも問題なく動作しました。 |
MacBook (13-inch, Late 2009) | SSD換装方法 | KLEVV SSD 120GB Crucial SSD 250GB Crucial SSD 500GB Crucial SSD 1000GB (≒ 1TB) Crucial SSD 2000GB (≒ 1TB) | SSDのモデルによっては 相性問題があるようです。 |
MacBook (13-inch, Mid 2010) | メモリ交換方法 | SO-DIMM PC3-8500 (4GB x 2) SO-DIMM PC3-8500 (4GB x 1) | 公称最大容量 4GB 8GB動作報告あり |
MacBook (13-inch, Mid 2010) | SSD換装方法 | KLEVV SSD 120GB Crucial SSD 250GB Crucial SSD 500GB Crucial SSD 1000GB (≒ 1TB) Crucial SSD 2000GB (≒ 1TB) |
SSD やメモリ はPCやMacの安定稼働に大きく影響します。一昔前は「メモリは規格品だからノーブランドでいい」と言われた時代もありましたが、それは過去の話です。
仕事柄SSDについては多く扱いますが、Kingston以外のKings〇ecやそれに似たメーカは避けるのが無難でしょう。できればCrucial製か、最近ですと旧東芝メモリのKIOXIA製SSDがおすすめです。
MacBook Pro
MacBook Pro 2012では仕様上、「DDR3」となっておりますが、低電圧の「DDR3L」でも動作しました。
発熱量の少ないDDR3Lの方がパーツ的には優しいです。
iMac
メモリ増設
SSD換装
機種名 | 対応記事 | 対応パーツ |
---|---|---|
iMac (21.5-inch, Late 2009) iMac (21.5-inch, Mid 2011) iMac (21.5-inch, Mid 2010) | 準備中 | Crucial SSD 250GB Crucial SSD 500GB Crucial SSD 1000GB (≒ 1TB) Crucial SSD 2000GB (≒ 1TB) KIOXIA SSD 480GB アイネックス 2.5インチ 変換マウンタ (必要です) iMac 2009~2010 (21.5, 27インチ両用) サーマルセンサー iMac 2011 (21.5, 27インチ両用) サーマルセンサー |
iMac (27-inch, Mid 2011) iMac (27-inch, Mid 2010) iMac (27-inch, Late 2009) | SSD換装 | Crucial SSD 250GB Crucial SSD 500GB Crucial SSD 1000GB (≒ 1TB) Crucial SSD 2000GB (≒ 1TB) KIOXIA SSD 480GB アイネックス 2.5インチ 変換マウンタ (必要です) iMac 2009~2010 (21.5, 27インチ両用) サーマルセンサー iMac 2011 (21.5, 27インチ両用) サーマルセンサー |
iMac (21.5-inch, Late 2012) iMac (21.5-inch, Late 2013) | SSD換装 | Crucial SSD 250GB Crucial SSD 500GB Crucial SSD 1000GB (≒ 1TB) Crucial SSD 2000GB (≒ 1TB) KIOXIA SSD 480GB |
ただしセンサーについては購入しなくても「Macs Fan Control」や「Derman Fancontrol」といったフリーソフトで制御が可能です。
SSD やメモリ はPCやMacの安定稼働に大きく影響します。一昔前は「メモリは規格品だからノーブランドでいい」と言われた時代もありましたが、それは過去の話です。
仕事柄SSDについては多く扱いますが、Kingston以外のKings〇ecやそれに似たメーカは避けるのが無難でしょう。できればCrucial製か、最近ですと旧東芝メモリのKIOXIA製SSDがおすすめです。
キオクシア KIOXIA 内蔵 SSD 480GB 2.5インチ 7mm SATA 国産BiCS FLASH搭載 3年保証 EXCERIA SSD-CK480S/N …
Bluetoothが利用できない
iMac (Mid 2007) :iMac7,1 やMac Pro (Early 2008) :MacPro3,1 では標準で内蔵されているBluetoothモジュールが動作しないか、Macの動作を不安定にさせる可能性があります。
特にMac Pro (Early 2008) :MacPro3,1 では標準で内蔵されているBluetoothモジュールが取り付けられているとカーネルパニックを引き起こす可能性があり、取り外すことをお勧めします。
Zoomが利用できない、起動しない
Zoomのクライアントアプリは一部の機能にMetal を使用しているため、Metal を利用できないMac では使用できない可能性があります。そのため、Dosdude1氏が開発しているバイナリパッチの適用が必要です。
▼ 詳しいパッチの導入方法は以下の記事をご覧ください。
カーネルパニックを起こし、動作が停止する
Mac Pro (Early 2008) :MacPro3,1 をご利用であればBluetoothモジュールによるトラブルが想定されます。Bluetoothモジュールの取り外しをご検討ください。
それ以外にもMac Pro (Early 2008) :MacPro3,1では、組み込みのUSB1.1ポートを利用するとカーネルパニックを引き起こされる事象が確認されている様です。(「組み込みのUSB1.1ポート」というのが抽象的すぎるような気がしますが、本来Mac Pro 2008のポートは全てUSB 2.0だったハズですが・・・。)
Mac Pro正面(電源ボタン下のUSBポート)はUSB 1.1とじゃんばるじゃん@映画研究者 様よりご指摘いただきました。コメント誠にありがとうございます。
USB2.0のハブを利用するか、PCIにUSBコントローラを増設するなどしてご利用ください。
それ以外の機種で発生している場合には新しいバージョンのOpenCore Legacy Patcher を試してみてください。
キーボードのバックライトが制御できない
古いデバイスを無理やり新しいOSで利用するために、hidd(Human Interface Device Daemon)を強制的に動作させています。そのため、OSがキーボードのバックライトを見失っている可能性が考えられます。
Lab Tick for Mac を使用するなどして制御できます。
写真と地図のアプリがひどく歪む
Metal が起因した問題です。解像度を下げることによって解決するようです。
サイドバーウィジェットの編集時に「完了」が押せない
Tabキーを押して「完了」ボタンをアクティブにし、Spaceキーを押して完了させます。
スリープから回復した際、画面が乱れる
AMD/ATI製のGPUを搭載したMacにmacOS 11.3以上をインストールした際、スリープからの立ち上げ時に画面が乱れる可能性があります。適切な解決策が用意されるまで、macOS 11.2.3をご利用ください
なお、OepnCore Legacy Patcherの開発元であるDortaniaがmacOS 11.2.3 20D91のミラーを用意しています。
このDMGをダウンロードしたら、展開しInstallmacOS.app をアプリケーションフォルダにコピーします。そして、「macOS Big Sur非対応機種にOpenCore Legacy Patcherを使ってインストールする(メディア作成編)」の「USBメモリにmacOS Big Surのインストールイメージを展開する」項から作業を進めてください
ATI TeraScale 2シリーズを搭載したMacで色が乱れる
GPUを換装していないMac Pro 2010~2012やiMac 2010~2011などATI TeraScale 2シリーズを搭載したMacではLegacy GPU Acceleration Patch をインストールした後、画面の一部でも変更されたりすると狂ったように色が高速に変わったりします。下図のように。
これはATI TeraScale 2のバグによるものですが、色深度を変更することによって改善できるようです。
詳しくはこちらのページにまとめましたので、ぜひご覧ください。
おわりに
いかがだったでしょうか?
ここまで、トラブルの解決方法についてみてきましたが、無事に解決できたでしょうか?
今後もMacをテストしていきながら、この記事、各項も(力が続く限り)順次更新予定です。
また、「インストールできたよ!」、「できなかったよ!」といったご報告もお待ちしております。
コメント欄にどしどしお寄せください。
では!
2023.01.15 記事リンクを複数件追加しました。
2023.01.15 記事内のリンクを更新しました。
2023.01.15 記事内のリンクを修正しました。(13件)
2023.01.15 記事のカテゴリーを「修理・カスタマイズ」から「Mac」へ変更しました。
2022.11.11 Zoomのトラブルに関して補足を追加しました。
2021.11.30 GPU換装について追記しました。
2021.11.22 1つの見出しの重さを修正しました。
2021.09.15 「Mac Pro (Early 2008) :MacPro3,1 のUSB」について修正しました。
2021.08.11 「ATI TeraScale 2シリーズを搭載したMacで色が乱れる」項を追加しました。
2021.07.19 「カーネルパニックを起こし、動作が停止する」項、追記しました。