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OpenCore Legacy Patcher、macOS 14.4をサポートする「1.4.0」をリリース 非Metal Macは非対応

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OpenCore Legacy Patcher、macOS 14.4をサポートする「1.4.0」をリリース 非Metal Macは非対応

OpenCore Legacy Patcherを公開するドルタニアはGitHub上でOpenCore Legacy Patcher (OCLP)の最新バージョンである「OpenCore Legacy Patcher 1.4.0」をリリースしました。

OpenCore Legacy Patcher 1.4.0はAppleから3月7日 (現地時間)にリリースされたmacOS Sonoma 14.4のサポート追加に焦点が当てられており、macOS Sonoma 14.4が非対応のMacにOCLPを使用してインストールする際やmacOS Sonoma 14.4にアップデートする際には今回リリースされた「1.4.0」以上を使用する必要があります。

また、OpenCore Legacy Patcher 1.4.0では非Metal GPUを搭載したMacにmacOS Sonoma 14.4向けのサポートがありません非Metal MacではmacOS Sonoma 14.4にアップデートしないようにしてください。

目次

2024.03.08 Update! OpenCore Legacy Patcher 1.4.0のリリース直後にパッチレベルのアップデート、OpenCore Legacy Patcher 1.4.1が公開されました。

OpenCore Legacy Patcher 1.4.0での主な変更点

OpenCore Legacy Patcher 1.4.0で加えられた主な変更点を紹介します。

サブプロセスの呼び出し方を再構築

より効率的かつ安定したパフォーマンスを実現するため、内部的のプロセスが見直されました。

RecoveryOSサポートの強化

OpenCorePkgの修正により、復旧用のOSのサポートが再び可能になりました。これは、システムの回復やアップグレード時の安定性を向上させます。

OpenCore Legacy Patcher 1.4.0では内包されるOpenCorePkg のバージョンが「0.9.6」から「0.9.7」になりました。OpenCorePkg 0.9.7ではOCLPのリリースノートで言及されているOpenCorePkgのリグレッションの解決により一部のシステムでリカバリが起動に失敗することがあった問題を修正された他、SMBIOS およびその他のビルトインファームウェアのバージョンを更新されるなど、PC/Macの安定性を向上させる更新が含まれています。

現時点でのOpenCorePkg の最新バージョンは2月5日にリリースされたOpenCorePkg 0.9.8ですが、今回のOpenCore Legacy Patcher 1.4.0では2023年12月12日に公開されたOpenCorePkg0.9.7が使用されているようです。

なお、OpenCore Legacy Patcher とOpenCorePkg の関係はこちらで紹介しています。
参考) 古いMacで最新のmacOSが動くOpenCore Legacy Patcher(OCLP)とは?(あのかぼ)

SPIキーボードとトラックパッドのサポート復元

特定のMacBookモデルにおいて、macOS 14.4以降でSPIキーボードとトラックパッドが再び使用可能になりました。

※ SPIキーボード (トラックパッド)は、「Serial Peripheral Interface (SPI)」を使用してデータ通信を行うキーボードのことです。SPIは、マイクロコントローラや小型コンピュータ間でデータを高速にやり取りするためのシリアル通信プロトコルの一つ。

T1チップサポートの復活

T1チップを搭載したMacBook Proのモデルにおいて、セキュリティ機能とTouch BarのサポートがmacOS 14.4以降で復元されました。

対象となるのは以下のモデルです。

  • MacBookPro13,2
  • MacBookPro13,3
  • MacBookPro14,2
  • MacBookPro14,3

古いMetal GPUのサポート

Intel, Nvidia, AMDの旧世代GPUに対するサポートがmacOS 14.4以降で再び提供されます。これにより、より多くの古いMacでグラフィックスパフォーマンスが向上します。

対象となるのは以下のGPU (iGPU/dGPU)です。

  • Intel Ivy BridgeからSkylakeまで
  • NVIDIA Kepler
  • AMDの旧型GCN

macOS 14.4以降でのUSB 1.1のサポートを復元

macOS 14.4以降でのUSB 1.1のサポートが再び提供されます。

対象となるのは以下のモデルです。

  • Penryn搭載のMac
  • Xserve3,1
  • MacPro4,1
  • MacPro5,1

Wi-Fiのサポート強化

全てのWi-Fi搭載Macで、macOS 14.4以降における接続性が向上しました。ただし、ネットワークの自動接続には問題が報告されており、一度ネットワークを削除再度接続する必要があります。

【一部のMacでは注意!】非Metal MacではmacOS 14.4以降のサポートはない

OpenCore Legacy Patcher 1.4.0ではmacOS Sonoma 14.4をサポートしないMacに向けて、Wi-FiモジュールやGPU、T1セキュリティチップなど様々なハードウェアに対しパッチを追加しました。

Metal APIが使用できないGPU、非Metal GPU向けのサポートはOpenCore Legacy Patcher 1.4.0では追加されていません。そのため、非Metal GPUを搭載したMacでmacOS Sonoma 14.4のアップデートの際に失敗する、またはアップデートが完了してもGPUアクセラレーションが有効にならず、動作に重要な問題をきたします。

非Matal GPUを搭載したMacではOpenCore Legacy Patcherのアップデートが提供されるまで、macOS Sonoma 14.4へアップデートしないように注意してください。

▼ 影響を受けるMac

  • MacBook5,1 – MacBook7,1 (Early 2008 – Mid 2010)
  • MacBookAir2,1 – MacBookAir4,x (Mid 2008 – Mid 2011)
  • MacBookPro4,1 – MacBookPro8,x (Late 2008 – Late 2011)
  • iMac7,1 – iMac12,x (Mid 2007 – Mid 2011)
  • Macmini3,1 – Macmini5,x (Early 2009 – Mid 2011)
  • MacPro3,1 – MacPro5,1 (Early 2008 – Mid 2012)

※ この他、GPUにMetal APIが利用できないGPUを搭載したMacではmacOS 14.4にアップデートしないでください。

▼ 影響を受ける GPU

ベンダーアーキテクチャー世代
AMDTeraScale 1, 22000 – 6000 series
NvidiaTesla8000 – 200 series
NvidiaMaxwell / Pascal900 – 1000 series
IntelIron LakeHD series
IntelSandy BridgeHD 3000 series

OCLP + macOS 14.4でのその他の注意点

この他、OpenCore Legacy Patcherを使用したMacでmacOS Sonoma 14.4を利用する場合に、OCLPを開発/公開するドルタニアは以下の注意があることを明らかにしています。

macOS Sonoma 14.4にアップデートする際にはOpenCore Legacy Patcher 1.4.0以上にアップデートする

macOS Sonoma 14.4ではMacのハードウェアに関する変更を多数行っており、OpenCore Legacy Patcher 1.4.0ではこの変更に対処するべく、多くのハードウェア向けにパッチを追加しています。

MacがスムーズにmacOS Sonoma 14.4のアップデートが行えるようにするため、macOS Sonoma 14.4へアップデートする前に、OpenCore Legacy Patcher 1.4.0をダウンロードし、アップデートするように求めています。

macOS Sonoma 14.4ではWi-Fiの自動接続に問題が発生する可能性がある

またmacOS Sonoma 14.4にアップグレードすると、Wi-Fi ネットワークへの自動接続が機能しなくなる可能性についても指摘しています。

macOS Sonoma 14.4にアップデートした後、Wi-Fiへの自動接続を行えるようにする場合には、一度ネットワーク接続設定を削除した後、再度Wi-Fiへ接続してください。

OpenCore Legacy Patcher の使い方

OpenCore Legacy Patcher の使い方は弊サイト (あのかぼ)内で詳しく解説しております。

OpenCore Legacy Patcher のダウンロード方法

OCLPはOpenCore Legacy PatcherプロジェクトのGitHubで配信されています。

執筆時点ではGitHubが唯一の公式配信元となっています。過去にはOpenCore Legacy Patcher公式を騙る偽サイトが公開されていました。不明な配信元からのダウンロードはMacのセキュリティ侵害につながる可能性があります。ダウンロード元に注意して作業してください。

OCLPの公式配布ページ

OCLPを使用してmacOS Sonomaをインストールする際の注意点

OpenCore Legacy Patcherは現在も精力的に開発が進行しています。OCLPのプロジェクト リーダーであるミコラ氏はGitHub上で、「(OCLPは)コミュニティ主導のプロジェクトでユーザは期待を適切に抑え、重要な問題に遭遇した場合は古いOSの使用を検討することが推奨されます。」としており、全ての機能が完璧に動作することを保証するもではなく、試用してみて問題が生じる場合には古いOSを使用することも視野に入れるよう求めています。

なお、macOSのアップデートにはリスクが伴うため、必ず必要なデータをすべてバックアップしてから作業を行ってください。

その他、現在までに弊サイトが把握している問題やその解決策については以下のページをご覧ください。

OpneCore Legacy Patcher (OCLP) 1.4.0のチェンジログ和訳などについては「おんかぼ」をご覧ください。

2024.03.08 OCLP 1.4.0リリース直後に公開された「OpenCore Legacy Patcher 1.4.1」を解説した記事 (おんかぼ)へのリンクを追加しました。