Appleは6月10日 (源氏置換)、Mac向けの新しいオペレーティングシステム (OS)であるmacOS Sequoia 15を発表し、開発者向けにプレビュー版を公開しました。なおパブリックベータは7月中に配信されることが明らかにされました。macOS SequoiaはiOS 18にも搭載されたAI機能「Apple Intelligence」を活用した多数の新機能が搭載される見込みです。
本稿ではmacOS Sequoiaに搭載される新機能やインストールできるMac、要件を中心に紹介します。
目次
- macOS Sequoiaのテーマ
- macOS Sequoiaに追加された新機能
- M1を搭載したMacしか利用できない新機能
- 一方で「お預け」の機能も
- macOS Sequoiaの対応機種
- macOS Sequoiaの入手方法
- まとめ
macOS Sequoiaのテーマ
今回発表されたmacOS Sequoiaの前のバージョンであるmacOS Sonomaのキャッチコピーは「パワーをもっと。楽しさをずっと。」(英語版: Come for the power. Stay for the fun.)と、macOS Monterey 12とmacOS Ventura 13が「つながり」を重視していたキャッチコピーから「前進」を思わせるものに変化しました。
そして、今回発表されたmacOS Sequoiaのコピーは「Sharp as a Mac.」(Macのようにシャープ。:翻訳したもの)で、Appleの自信の表れなのか、非常に短く攻めたコピーになっています。
なお、「macOS Sequoia」の名前の由来となった「Sequoia(セコイア)」は、アメリカ合衆国カリフォルニア州にあるセコイア国立公園に由来しています。
macOS Sequoia 15の新機能
macOS Sequoiaの新機能として、Appleの新しい生成AI「Apple Intelligence」やワイヤレスでMacから直接iPhoneを使える「iPhoneミラーリング」、すべての資格情報を集約できる「パスワード」アプリが挙げられます。
Appleの新しい生成AI「Apple Intelligence」
Appleは、新しいパーソナルインテリジェンスシステム「Apple Intelligence」を導入します。これは、Mac、iPhone、iPadに統合され、ユーザーの生産性を大幅に向上させるツールです。Apple Intelligenceは、言語や画像を理解し、生成モデルのパワーを最大限に活用して、文章の書き直し、校正、要約を簡単に行うことができます。
また、新しい画像機能「Image Playground」により、ユーザーはアニメーション、イラスト、スケッチの3つのスタイルから選んで、楽しい画像を作成することができます。
AppleのパーソナルアシスタントであるSiriもApple Intelligenceでパワーアップします。
Siri とのコミュニケーションはこれまで以上に自然になり、デバイスの機能や設定に関する製品知識を備えた Siriはユーザーの個人的な状況を認識し、ユーザーをサポートできるようになるとのこと。
MacとiPhoneのシームレスな連携を実現する「iPhoneミラーリング」
macOS Sequoiaでは、iPhoneミラーリング機能が追加され、Macから直接iPhoneを操作できるようになります。ユーザーは、カスタマイズした壁紙やアイコンがそのまま表示されるホーム画面で、アプリを起動したりページ間をスワイプしたりすることが可能です。
また、Macのキーボードやトラックパッド、マウスを使用してiPhoneを操作できるため、より直感的で効率的な作業が実現します。さらに、ドラッグ&ドロップによるファイルの転送や、iPhoneの通知をMacから確認・応答する機能も提供されます。
WindowsのAero Snap(エアロ スナップ)っぽい機能
macOS Sequoiaには、ウインドウのタイル表示機能が追加され、ウインドウを自動的に整理することができます。
ユーザーが画面の端にウインドウをドラッグすると、macOS Sequoiaがデスクトップ上の最適な位置を提案します。また、新しいキーボードショートカットやメニューショートカットにより、操作性が向上し、作業効率が向上します。
この機能は2009年にMicrosoft から発売されたWindows 7に搭載されたAero Snapに大変似た機能です。Windowsユーザにはなじみ深い機能で、従来Macでこの機能を利用するには別途「BetterSnapTool」などのソフトの導入が必要でした。今後はソフトの導入をせずともウィンドウ操作が行えるようになります。
新しいパスワードアプリ
macOS Sequoiaは、新しいパスワードアプリを導入し、すべてのパスワードや認証情報を一か所にまとめて管理することができます。iCloudとのシームレスな連携により、エンドツーエンドの暗号化が保証され、セキュリティが強化されています。
ビデオ会議の改善
macOS Sonoma でも「プレゼンター オーバーレイ」(Apple Siliconを搭載したMacのみ)が搭載されましたが、macOS Sequoiaの新しい発表者プレビュー機能により、ビデオ会議のプレゼンテーションがさらに簡単になります。
ユーザーは共有内容を事前に確認でき、FaceTimeやZoomなどのアプリで適用可能な美しい内蔵背景や自分の写真をアップロードすることができます。背景の置き換え機能は、Appleの高度なセグメンテーション技術により、ビデオ通話中に最高の自分を映し出すことができます。
ゲーム体験の飛躍的向上
AppleはMacでのゲーム体験の向上に取り組んでいます。
macOS Sequoiaは、ゲーム体験も一新します。Ubisoftの「アサシン クリード シャドウズ」や「Frostpunk 2」をはじめとする新作ゲームがMacに登場し、パーソナライズされた空間オーディオなどの新機能により、より没入感のあるゲームプレイが可能になります。
また、Appleの強力なソフトウェア技術「MetalFX Upscaling」を活用し、パフォーマンスを向上させることで、高品質なビジュアルが実現します。
Safariの革新的なアップデート
Macに搭載されているSafariも大幅にアップデートされました。
新しいハイライト機能により、ウェブページ上の情報を簡単に見つけることができます。例えば、人、音楽、映画、テレビ番組についての情報を迅速に取得することができます。
再設計されたリーダーは、ユーザーが読んでいる記事をすっきりと表示し、要約や目次を提供することで、集中して記事を楽しむことができます。また、ピクチャインピクチャ機能の改善により、ウェブページ上の動画をより便利に視聴することが可能になります。
その他の新機能
macOS Sequoiaには、他にもさまざまな新機能が搭載されています。メッセージアプリでは新しいテキストエフェクトや絵文字、ステッカーが追加され、ユーザーは自分を表現する方法が広がります。
Appleマップは、カスタムのウォーキングコースやハイキングコースを導入し、世界を探索する新しい方法を提供します。写真アプリでは、ユーザーのライブラリを自動的に整理するコレクションや、検索機能が強化されています。
Apple Siliconを搭載したMacしか利用できない新機能
ただし、全てのMacでmacOS Sequoia 15の新機能が利用できるわけではありません。
AppleはmacOS Big Sur以降、同社が発表したApple Siliconに搭載しているNeural Engineを使用していることを理由にIntel CPUを搭載したMacにはmacOS に搭載された魅力的な機能の多くを制限しています。
Apple Intelligence
Apple SiliconとNeural Engineのパワーを最大限に活用したパーソナルインテリジェンスシステム「Apple Intelligence」は、Mシリーズチップを搭載したMacで利用可能です。
高度なゲーム体験
MetalFX Upscalingなどのパワフルなソフトウェア技術を活用した高品質なビジュアルの提供は、Apple Silicon搭載のMacで最適に動作します。特に新作ゲームタイトルは、これらの技術を活用して、より没入感のあるゲーム体験を提供します 。
Appleマップの改善
Appleマップの改善の一部についてもApple Siliconを搭載しMacのみで利用できます。
ライブ音声文字起こし
メモ内でオーディオセッションを録音し、ライブオーディオの文字起こしを生成する機能もApple Siliconのみで利用可能です。
一方で「お預け」の機能も
開発者向けにプレビュー版がリリースされたmacOS Sequoiaですが、正式リリース後にも、すぐには利用できない機能がいくつかあるようです。
デバイス間でのシームレスなドラッグアンドドロップ
iPhone ミラーリングの一部として利用できるようになる「デバイス間でのシームレスなドラッグアンドドロップ」は暫くお預け。「今年後半に」とのことなので年内中には利用ができるようになるそうです。
macOS Sequoiaの対応機種
macOS SequoiaをインストールできるMacは以下の通りです。
- iMac 2019以降
- iMac Pro 2017以降
- Mac mini 2018以降
- Mac Pro 2019以降
- Mac Studio 2022
- MacBook Air 2018以降
- MacBook Pro 2018以降
MacBook Air 2018やMacBook Air 2019などはmacOS Sequoiaにアップグレードできなくなりました。
ただ、iMac Pro 2017等のサポートが継続されており、今回は比較的寛容な対応に思います。
macOS Sequoiaの入手方法
macOS SequoiaのインストールができるMacの場合、今年の秋に「ソフトウェア・アップデート」または「App Store」を使用してアップグレードすることが可能です。
macOS Sequoiaのデベロッパ向けベータ版は、本日よりApple Developer Programを通じて提供されます。パブリックベータ版は、来月よりApple Beta Software Programを通じて提供されます。正式リリースはこの秋、無料のソフトウェアアップデートとして提供される予定です。
macOS Sequoiaのインストールには数時間かかる場合もありますので、アップグレードをしたい方は十分にお時間のあるタイミングで作業いただけたらと思います。
まとめ
Appleの新しいオペレーティングシステム、macOS Sequoiaが開発者に公開されました。
macOS Sequoiaは、Macユーザーにとって画期的なアップデートとなり、生産性とインテリジェンスを飛躍的に向上させることでしょう。
弊サイト(あのかぼ)ではmacOS Sequoiaの最新情報を追っていきます。
また、あのかぼではmacOS SonomaをサポートしていないMacにmacOS Sonoma をインストールするする方法などを詳しく紹介しています。
あのかぼのインストールガイドをご覧ください。
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