2024年3月7日にリリースされたmacOS Sonoma 14.4が、一部のユーザーのプリンター機能に深刻な影響を与えていることが明らかになりました。macOS 14.4へアップデート後、プリンターが使用不可能になるという報告がRedditやApple Communityフォーラムをはじめ、複数のオンラインプラットフォームから寄せられています。
先日はmacOS 14.4へアップデートした後、USBハブが利用できなくなるトラブルを紹介したばかりで、混乱が続きます。
核心問題はCUPSの削除?
問題の核心にあると言われているのは、macOSのプリンター管理システムであるCommon Unix Printing System (CUPS)がアップデートによって削除されたことです。CUPSはUnix系オペレーティングシステム用のオープンソースプリンティングシステム(macOS版のみプロプライエタリライセンス)で、Macとプリンター間の通信やプリントジョブの管理を行います。このソフトウェアが欠如することで、プリンターとのインターフェースが断たれ、印刷が不可能になる事態が発生しています。
Microsoft Defenderとの関連性
また、Redditを使用しているユーザからの報告によると、問題の一因としてセキュリティソフトウェアであるMicrosoft Defenderが関与している可能性が指摘されています。特定のMicrosoft Defenderプロセス(com.microsoft.dlp.daemon)にフルディスクアクセス権限を与えることで、問題が解決するケースもあるとのことですが、この対処法が全てのユーザに有効であるわけではないようです。
com.microsoft.dlp.daemonとは?
com.microsoft.dlp.daemon
は、Microsoft Defenderに関連するプロセスの一つです。Microsoft Defenderは、マルウェアやウイルスからユーザーのデバイスを保護するためのセキュリティソフトウェアであり、com.microsoft.dlp.daemon
はデータ損失防止(Data Loss Prevention, DLP)機能を担当するデーモン(バックグラウンドで実行されるプログラム)です。このデーモンはシステム上の機密データの流出を防ぐために活動し、特定の操作やファイルアクセスを監視することがあります。
Microsoft Defenderの設定変更が解決策に?
Reddit上のユーザによると、com.microsoft.dlp.daemon
にフルディスクアクセス権を与えることで、一部のユーザーはプリンター問題を解決できたとしています。macOSの[システム設定] > [プライバシーとセキュリティ] > [プライバシー] の中にある、[フルディスクアクセス]リストにcom.microsoft.dlp.daemon
を追加することで、このプロセスが必要なファイルや設定にアクセスできるようになり、結果として印刷機能が回復する場合があるとしています。

HPプリンターを使用するユーザーに集中
影響を受けているユーザーの報告を分析すると、特にHP製のプリンターを使用している場合に問題が顕著になる傾向があります。ただし、Microsoft DefenderやJAMFのモバイルデバイス管理ソフトウェアの使用など、共通の原因や特徴を完全に特定することはまだできていません。
macOS Sonoma 14.4へのアップデートは待つべきか
現時点で根本的な解決策がAppleから示されておらず、この問題を報じたAppleInsiderは日常的に印刷を必要とするユーザには、この問題が解決されるまでmacOS Sonoma 14.4へのアップデートを控えることを検討するようにとしています。