OpenAIは2023年7月20日、ChatGPTにCustom instructions (カスタムインストラクション)機能を搭載すると発表しました。
この記事ではこのChatGPTの新機能、カスタム・インストラクション機能の設定方法と使い方について詳しく紹介していきます。
目次
Custom instructions (カスタム指示)機能とは?
これから紹介するCustom instructions (カスタム・インストラクション)機能とはいったいどのような機能なのでしょうか?
Custom instructions (カスタム・インストラクション)機能は、ChatGPTのユーザの情報や、求める出力形式などを事前にChatGPTに登録できる機能です。
つまり、従来は毎回入力していたプロンプトをCustom instructions (カスタム・インストラクション)機能を使用して事前に登録することによって省略できるといった機能です。
ChatGPTを「献立の作成」や「コンサル」、「コードの出力やデバッグ」などに特化して利用しているユーザや、しばらくは同じような内容が続く、といったような場合にはCustom instructions (カスタム・インストラクション)機能は大変おすすめです。
なお、OpenAIはこの機能について以下のように説明しています。
- 目的: この機能はChatGPTがユーザーのニーズにより適応することを目的としています。ユーザーは自分の好みや要件を指定することができ、ChatGPTはそれを応答の生成時に考慮します。
- 利便性: 以前は、各会話のたびに同じ情報を繰り返す必要がありましたが、この機能を使うと、一度の指定でそれらの好みが保存され、以後の会話に反映されるようになります。例として、教師がレッスンプランを作成する際に「3年生の科学を教えている」という情報を繰り返す必要がなくなります。
- プラグインとの連携: プラグインを使用する際にも、指示を追加することでユーザーエクスペリエンスが向上します。例えば、自分が住んでいる都市を指定すると、レストランの予約を手伝うプラグインがその都市を考慮して動作するかもしれません。
- ベータ版の制約: ベータ期間中は、ChatGPTがカスタム指示を常に完璧に解釈するわけではありません。指示を見落とすことや、意図しないタイミングで適用することもあり得ます。
- 安全性: 新しい指示方法に対応するため、安全対策も適応されています。たとえば、Moderation APIは、使用ポリシーに違反する指示が保存されないように設計されています。
- プライバシー: カスタム指示はモデルのパフォーマンス向上のために使用される場合がありますが、ユーザーはこの機能を無効にすることができます。OpenAIは、モデルのパフォーマンスを向上させるためにカスタム指示を使用する際、個人を特定できる情報を取り除くステップを踏んでいます。
- 利用方法: Plusプランのユーザーは、ウェブやiOSで設定を変更することでこの機能のベータ版をすぐに試すことができます。ただし、この機能は現在UKとEUでは利用できません。
このCustom instructions (カスタム・インストラクション)機能がリリースされた当初は有料のPlusプランのユーザのみ使用できましたが、現在は無料プランのユーザも使用できるようになりました。
Custom instructions (カスタム指示)機能の設定方法
では実際に、Custom instructions (カスタム・インストラクション)機能の使い方や設定方法を見ていきます。
▼ まずはChatGPTにログインします。
※ ChatGPTの登録がお済でない方はこちらの記事をご覧ください。
▼ ページ下部にある赤枠で囲った部分をクリックします。
▼ そして表示されたメニューの中から「Custom instructions」をクリックします。
▼ 初回のみCustom instructions (カスタム指示)機能の説明が表示されます。
「OK」ボタンをクリックして続行します。
▼ 「Custom instructions」(カスタム指示)の設定画面が表示されました。
▼ Custom instructions (カスタム・インストラクション)機能で主に使用するのは下図の①~③です。
①にはChatGPTに知っておいてもらいたいことを入力します。
②にはChatGPTからの出力への要望を入力します。
③は次から開始する新しいチャットに、この設定を適用するかどうか選択します。
▼ ひとまずサンプルとして次のように入力してみました。
ここでは、本の紹介を読書感想文のような文体で出力することや、使用される漢字の制限などを行ってみました。
▼ 各項目が入力できたら「Save」ボタンをクリックして確定します。
▼ ChatGPTのトップまで戻りました。
これでCustom instructions (カスタム・インストラクション)機能の設定は完了です。
使用例と注意点
カスタムインストラクション機能を使用してみた例
ここまででCustom instructions (カスタム・インストラクション)機能の設定が完了しましたので、いよいよChatGPTにプロンプトを入力し、出力の違いを見ていこうと思います。
夏目漱石の「こころ」という本を紹介してください。と入力してみました。
▼ まずはCustom instructions (カスタム・インストラクション)機能を無効にした状態の出力を見てみます。
▼ Custom instructions (カスタム・インストラクション)機能を有効にして検証してみた結果です。
カスタム・インストラクション機能を使用していないバージョンと比較して、やや読書感想文ちっくになっていることに加え、文章中に含まれる漢字に有意の差が認められます。
たとえば、カスタム・インストラクション機能がオフの状態では「葛藤」、「惹かれる」、「緻密さ」といった漢字が含まれますが、カスタム・インストラクション機能がオンの状態では「複雑」や「恋愛」、「心を通わせて」などと表現に変化が見られました。
【NGバージョン】雰囲気はよかったものの、出力が微妙だった例
先ほどと同条件で、プロンプトを中勘助の「銀の匙」という本を紹介してください。にして試してみた例です。
▼ Custom instructions (カスタム・インストラクション)機能を無効にした例
中勘助の「銀の匙」とお願いしたのですが、荒川弘さんの漫画である「銀の匙」になってしまいました。
▼ Custom instructions (カスタム・インストラクション)機能を有効にした例でも試してみます。
大変読書感想文っぽい文章になっていて感動なのですが、やはり中勘助の「銀の匙」ではなく荒川弘さんの「銀の匙」になってしまいました。
カスタムインストラクション機能の注意点
Custom instructions (カスタム・インストラクション)機能の注意点として、設定した内容は自動的に新しいチャットに適用されるため、全く別の内容でChatGPTを使用したい場合には、先ほど紹介したCustom instructions (カスタム・インストラクション)機能の設定方法を参考に、カスタム インストラクション機能を無効にするか、①と②のテキストエリアを空白に戻すことを忘れないでください。
まとめ
ここまで、ChatGPTに新しく追加されたCustom instructions (カスタム・インストラクション)機能の使い方と注意点を見ていきました。
カスタム インストラクション機能では事前にユーザの背景や属性などの情報や、ChatGPTからの出力を指定したりできる機能でした。
このカスタム・インストラクション機能がリリースされるまでは、新しいチャットを開始するたびに、ChatGPTに制約条件などを指定したりする必要があったため、プロンプトが長くなりがちでした。
ChatGPTを同じ目的で使用することが多い方や、プロンプトが長くなりがちな場合にはおすすめの機能です。
ぜひ使いこなして、便利にChatGPTをお楽しみいただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
あのかぼでは引き続きChatGPTの最新ニュースをお届けします。
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