次期iOSにサイドローディング機能が実装されるか？ ―iOS 17.2に重要な変更が加わる

2023.11.12 ニュース

AppleがiOS 17.2ベータ版のコード内で、「サイドローディング」機能の導入に向けた動きを確認されたことが注目を集めています。これは、iOSの歴史において、そのエコシステムとアプリケーションのインストール方法に大きな変更が加わることを示唆しています。

サイドローディングとは何か？

サイドローディングは、公式のアプリストア以外の第三者ソースからアプリをインストールするプロセスを指します。これまでのiOSでは、App Storeが唯一の公式ソースでした。しかし、iOS 17.2の導入により、この状況が変わるかもしれません。

欧州連合 (EU)の圧力

Appleのこの動きは、EUのデジタル市場法(DMA)という反トラスト法による圧力によるもの。
DMAは、大手テック企業による競争の妨げを防ぐことを目的としており、ユーザが第三者ソースから任意のアプリをインストールできるよう要求しています。

この流れには日本にも

日本政府は、アプリストア外からのアプリのインストール、つまり「サイドローディング」の義務化を検討しています。この動きは、公正な競争を重視する政策の一環として進められており、特にAppleに焦点を当てたものとみられています。
主な理由としては、アプリ市場の寡占状態に対処し、より広範な競争を促進することが挙げられます。

具体的には、内閣官房デジタル市場競争会議 (DMCH)がこの問題に取り組んでおり、Appleに対して、iPhoneユーザがApp Store以外の他社によるアプリストアも利用できるようにする法案を定め、義務付けることを検討しています。DMCHのワーキンググループは、「モバイル・エコシステムに関する競争評価の最終報告書（案）」を提出し、国民からのパブリックコメントを募集していました。

iOS 17.2の新機能

iOS 17.2では、「Managed App Distribution」と呼ばれる新しい公開フレームワークが導入されています。当初、これはMobile Device Management (MDM: モバイルデバイス管理)ソリューションに関連するものと考えられていましたが、追加の調査により、自社のアプリストアを開発するための機能も含まれていることが明らかになりました。

このAPIは、外部ソースからのアプリのダウンロード、インストール、アップデートを基本的に制御できます。また、特定のデバイスやiOSバージョンとの互換性を確認する機能も備えています。

なお、Appleはこの「Managed App Distribution」について同社が公開するドキュメントで「企業、教育機関、またはその他の機関が従業員や学生に管理対象アプリを販売する場所を提供します。」と説明しています。

地域ロック機能

このAPIには地域ロック機能が含まれており、Appleが特定の国や地域でのみサイドローディングを許可する可能性が示唆されています。これは、特にEUのような法的要件に基づいてサイドローディングを有効にするかAppleが決定できるようになります。

今後の影響

サイドローディングの導入は、App Storeのビジネスモデル、デベロッパーの収益、そしてiOSのセキュリティとプライバシーに大きな影響を与える可能性があります。また、ユーザーエクスペリエンスの変化も予想されます。

まとめ

Appleのこの変更は、iOSエコシステムにおけるアプリケーションの流通と管理の方法に関して、新たな時代の幕開けを告げています。サイドローディング機能が実際にどのように実装されるか、そしてこれが市場やユーザにどのような影響を与えるかは、今後の大きな注目点です。

ただし、サイドローディングにより、公式ストアが行う審査や品質チェックを経ないアプリが流通する可能性があるため、偽アプリやマルウェア感染のリスクが増大することが予想されます。
また、サイドローディングはスマートフォンのセキュリティを弱める可能性もあるため、この実装にはユーザ側へのリスクの周知と仕組みを構築する必要があり、今後の動きに注目が集まります。