ChatGPTのリリースでAI界のトップに躍り出たOpenAI、アルトマン氏とのCEO復帰の交渉が決裂し、暫定CEOはライブストリーミング配信プラットフォームのTwitch(ツイッチ)のCEOを務めたエメット・シア氏が就任するとThe Informationが伝えました。
OpenAIにアルトマン氏は戻らない
OpenAIの取締役会は17日、同社のCEOであったサム・アルトマン氏を解任し、取締役会長のブロックマン氏も取締役会から解任し、OpenAI社長へと事実上の降格を発表していました。
OpenAIの従業員と家からの強い反発を受け、OpenAIの取締役会は急遽、アルトマン氏の同社CEOに復帰する可能性を模索していました。
アルトマン氏は解任を発表されたあと、自信のX(Twitter)を更新し、「私は OpenAI チームをとても愛しています。(i love the openai team so much)」と投稿。
これに、OpenAIの従業員らが反応し、アルトマン氏の投稿に対してハートの絵文字を付けて引用リポスト(再投稿)をしていました。
この一連の動きに対しTheVergeは、アルトマン氏が新しい会社を設立した場合、誰がアルトマン氏に賛同し、新しい会社に移るのかを取締役会に知らせる意図があったとして指摘していました。

また、The Informationはアルトマン氏と共に、降格させられその後OpenAIの社長を辞任したOpenAI元取締役会長のグレッグ・ブロックマン氏と共に新たな人工知能ベンチャーを立ち上げる計画があると投資家に語っていたと報じています。
TheVergeによるとOpenAIの従業員らは同社の取締役会に対し、2回に渡ってアルトマン氏とブロックマン氏の復帰と、取締役会の辞職を時限付きで要求していました。
最終的にはどちらも守られることなく、アルトマン氏のCEO復帰がないことが確実になったことになり、この要求をしていたOpenAIの従業員が一斉に同社を去る可能性が高くなっています。
既に上級研究員などのメンバー3人がOpenAIから退職していることも報じられており、OpenAIを支える人材が同社から退社することを防げるかにも注目が集まります。
OpenAIの新CEOはTwitch元CEOのエメット・シア氏
OpenAIの新しいCEOに就任するのはエメット・シア氏で今年の3月までライブストリーミング配信プラットフォームのTwitch(ツイッチ)のCEOを務めていました。
AI関連では露出の少ないシア氏のOpenAI CEO就任は意外でしたが、「取締役会とのコミュニケーションにおいて一貫して率直さを欠き、取締役会の責任遂行を妨げたとの結論に至った」とアルトマン氏のCEO解任を発表したOpenAIとしてはTwitchが2007年のサービス開始以来16年間にわたってCEOとして支えてきたシア氏のリーダシップを強く評価したとも受け止められます。
今後のアルトマン氏
今回の決定でますますアルトマン氏の「新プロジェクト」に注目が集まります。
9月にはアルトマン氏とAppleの元CDO(最高デザイン責任者)のジョナサン・アイブ氏が対談しており、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長に支援を求めているとArs Technicaに報じられていました。
また、前出のThe はアルトマン氏は金曜朝、チップ設計者のアームを含む半導体幹部らとAI チップの開発について協議していたことも伝えられており、どのプロジェクトを中心に進められていくかについては現時点で未知数であるものの、今後のAI界の動向がさらに予測不能になることだけは明らかになりました。
コラム: エメット・シア氏とは?
今回OpenAIの暫定CEOとして指名されたエメット・シア氏について紹介します。
シア氏は、Twitchの前身である2007年に設立されたJustin.tvの創設者の一人として、ライブストリーミング技術の開発に早くから関わっていました。
2014年、TwitchはAmazonによって約9億 7000万ドルで買収され、その後も急速な成長を続け、昨今のゲーム文化に大きな影響を与えました。シア氏はTwitchをゲームストリーミングサービスから、広範囲にわたるコンテンツを提供するプラットフォームへと進化させる重要な役割を果たしました。
そして、2023年3月、シア氏のX(旧Twitter)上で、TwitchのCEOを降りること明らかにしました。
TwitchのCEOから退任する理由としてシアー氏の息子との時間を重視したいとしており、新たな人生の章へと歩みを進めるとしていました。