こんにちは、かぼしーです。
この記事ではmacOS 14 Sonomaが非対応になってしまったMacにOpenCore Legacy Patcher (OCLP)を使用してアップグレードする方法について紹介します。
なお、この方法は「推奨されるインストール方法」と比べ簡単に行えますが、一部の環境ではトラブルが発生するリスクやインストール後に追加の作業が必要になる場合があります。
目次
- この記事で出来ること
- 必要なもの
- このガイドを基に作業する際の注意点
- macOS Sonoma非対応のMacをアップグレードする
- アップグレード後の作業
- 【オプション】その他の設定
- 困ったときは
- よくある質問
- まとめ
この記事で出来ること
この記事を基に作業することで、2023年9月にリリースされたmacOS Sonomaが対応しない古いMacに過去のバージョンのmacOSから最新のmacOS Sonomaへアップグレードすることが可能になります。
また、この作業には「あのかぼ」でよく紹介しているOpenCore Legacy Patcher (OCLP)を使用してmacOS Sonomaをアップグレードします。
必要なもの
この作業に必要なものを紹介します。
- データをバックアップするためのストレージ
- 2011年以前モデルのMacの場合にはUSB 2.0以上のハブ
- 2011年以前モデルのMacの場合にはUSBキーボード
- 2011年以前モデルのMacの場合にはUSBマウス
主な手順と特徴
このガイドの主な操作手順とこの手順の特徴を紹介します。
OpenCore Legacy Patcherを使用してmacOS Sonomaへアップグレードを行うのは非常に簡単です。
簡単な流れとしては、MacにOCLPをインストール > 再起動 (OCLPから起動) > ソフトウェアアップデートからmacOS Sonomaをダウンロード > アップグレードの手順で行えます。
正式な手順 | このガイドの手順 | |
---|---|---|
用意するもの | 16GB以上のUSBメモリ (環境によりUSBキーボード) (環境によりUSBマウス) (環境によりUSB2.0 以上のハブ) | (環境によりUSBキーボード) (環境によりUSBマウス) (環境によりUSB2.0 以上のハブ) |
所要時間 | 2時間から6時間 | 1時間から4時間 |
予期せぬトラブル | 普通 | 普通~やや多い |
元のデータ | 新規 / 引き継ぐ 選択可能 | 引き継ぐ |
作業後の操作 | OCLPのインストール | ルートパッチのインストール |
データ損失リスク | あり | あり |
この手順ではUSBメモリにmacOS Sonomaのインストーラを作成しないため、「正式な手順」と比較して短時間でmacOS Sonomaへアップグレードすることができます。
ただし、リスクは正式な手順よりやや高めで、ブータブルインストールメディアがないことらから、途中で失敗するとMac内の「macOS 復旧 (macOS Recovery)」やインターネットリカバリを使用して復旧するしか方法が取れない場合があります。
このガイドを基に作業する際の注意点
このガイドではmacOS SonomaがサポートしないMacに対し、OCLPを使って古いmacOSからアップグレードする方法を紹介しますが、環境によっては予期せぬトラブルや、アップグレード後には追加の作業が必要になる場合があります。
このセクションではそのリスクとそれを回避、解消する方法について紹介します。
2011年以前のMac(またはMac Pro 2012以前)を利用している場合
1つ前のmacOS Venturaから、USB 1.1のサポートが終了しました。
この影響で2011年以前のMac、または2012以前のMac Proの場合には内部的にUSB 1.1に依存している可能性があり、これらのMacではインストール作業中にキーボードやマウスが利用できなくなります。
これらのMacを利用している場合にはUSB 2.0以降のUSBハブを用意し、そこにUSBキーボードとUSBマウスを接続してインストール作業を行います。
OpenCore Legacy Patcherのルートパッチをインストールすることでこの問題は解決しますが、アップグレード中に操作が必要になった際、一切の操作が行えなくリスクがあり、作業前には必ず用意しておきましょう。
手動でルートパッチをインストールする必要がある
推奨されるインストール方法で作業を行うと、一部の環境を除き、自動的にOpenCore Legacy Patcherのルートパッチがインストールされます。
OpenCore Legacy Patcherのルートパッチは最新のmacOSで使用できなくなったハードウェア、例えばWi-Fi(AirPort)やBluetoothなどの無線モジュールの他、GPUなどを再度使用できるようにします。
この手順で行うと、このルートパッチをmacOS Sonomaへアップグレード後に手動でインストールする必要が出てきます。
この記事ではルートパッチのインストール方法も紹介しておりますので、ぜひ一つ一つ確認しながら作業を進めていただければと思います。
作業前にデータは必ずバックアップする
OpenCore Legacy Patcherを使用したmacOSのインストールは当然Appleは関知しておらず、非公式の方法です。
その為、インストールに不具合が発生し、データにアクセスできなくなる場合があります。
予期せぬデータの毀損や情報資産を適切に保護するためにも、作業前には必ずバックアップを取っていただき、これらの問題を未然に防いでください。
バックアップはクラウドに行っていただくもの利便性が高くお勧めですが、手元にデータを残しておきたい方はぜひ、外付けのハードディスクなどをご用意いただき、日ごろから定期的にバックアップを行っていただければ幸いです。
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macOS Sonoma非対応のMacをアップグレードする
では、早速macsOS SonomがサポートされていないMacでのOpenCore Legacy Patcherを使用したmacOS Sonomaのアップグレード手順をご紹介します。
最新版のOpenCore Legacy Patcherをダウンロードする
まずはOpenCore Legacy PatcherのGitHub、リリースページから最新のバージョンをダウンロードします。
OpenCore Legacy Patcherをダウンロードする
次にOpenCore Legacy Patcherをダウンロードします。
macOS SonomaのインストールにはmacOS 14をサポートしたOpenCore Legacy Patcher 1.0.0以降を利用します。
▼ こちらのページ(Releases · dortania/OpenCore-Legacy-Patcher · GitHub)を開き、下にスクロールします。
▼ 「Assets」にある「OpenCore-Patcher-GUI.app.zip」をクリックし、ダウンロードを開始します。
▼ ダウンロードする際に許可を求められたら「許可」をクリックします。
▼ ダウンロードが完了するとOpenCore Patcher.app が出現しますので、実行します。
※ ZIPファイルが自動的に展開されない時はダウンロードした「OpenCore-Patcher-GUI.app.zip」を手動で展開してください。
▼ 初回の立ち上げの際には「”OpenCore-Patcher”を検証中…」と表示されますので、検証が終わるまで暫く待ちます。
▼ ゲートキーパーより「”OpenCore-Patcher”はインターネットからダウンロードされた…」というアラートが表示されたら「開く」を選択します。
OpenCore Legacy PatcherをMacにインストールする
続いてMac(の起動ディスク)にOpenCore Legacy Patcherをインストールします。
▼ OpenCore Legacy Patcherが立ち上がったら、「Build and Install OpenCore」を選択します。
▼ OpenCore Legacy PatcherがOpenCoreのビルドを開始します。
▼ ビルドが完了すると、Macに取り付けられたディスクに対し、OpenCore をインストールするか聞かれますので、「Install to disk」というボタンをクリックします。
▼ Macに取り付けられたディスクの探索を始めます。
Macに取り付けられたディスクの探索が完了すると、OpenCore をインストールすることが可能なディスクが表示されます。
▼ macOS をインストールしている内蔵ストレージを選択します。
▼ そして、選択したディスクのESPをクリックします。
▼ ESPのマウントが開始されます。
▼ この時、Macのパスワードの入力が求められます。パスワードを入力し、「OK」ボタンをクリックします。
▼ 選択したディスクのESPにOpenCore がインストールされていきます。
▼ OpenCore がインストールできるとMacを再起動するか聞かれます。
再起動する場合には「Reboot」を、まだ再起動しない場合やログを確認したい場合には「Ignore」をクリックします。
▼ 「Ignore」選択された方は、「Return to Main Menu」というボタンをクリックすることで、OpenCore Legacy Patcherのメインメニューに戻ります。
OpenCore Legacy Patcherから立ち上げる
MacにOpenCore Legacy Patcherをインスト―することができたら、macOSをOpenCore Legacy Patcherから立ち上げてみましょう。
▼ Macの電源を切り、電源ボタンを投入したらoption (Alt)キーを押し続けます。
▼ Windows向けキーボードの場合にはAlt キーを押し続けます。
Apple Startup Managerが立ち上がり、操作ができるようになったらOpenCore Legacy Patcherのアイコンのついた「EFI Boot」を選択し、Return (Enter)キーを押します。
▼ OpenCoreのブートピッカーが起動したらmacOSの起動ディスクを選択してMacを起動させます。
ソフトウェアアップデートからmacOS Sonomaにアップグレードする
OpenCore Legacy PatcherからmacOS を起動させると、MacでmacOS Sonomaへアップグレードすることが可能になります。
「システム設定」、または「システム環境設定」からソフトウェアアップデートの内容を確認し、macOS Sonomaへアップグレードしてみます。
macOS Ventura以降の場合
ここからは暫く、通常のmacOSのアップグレードと同じ作業になります。
▼ Appleメニューをクリックし、「システム設定」をクリックするか、Dockの「システム設定」アイコン をクリックします。
▼ 「システム設定」を開いたら「一般」を選択します。
▼ 「ソフトウェアアップデート」をクリックします。
▼ アップデートの確認が終わると、「macOS Sonoma」へのアップグレードが行えます。
「macOS Sonoma」の横にある「今すぐアップグレード」をクリックします。
▼ 使用許諾契約書が表示されます。問題がなければ「同意する」を選択し、作業を継続します。
macOS Monterey以前の場合
▼ macOS Monterey以前の場合にはAppleメニューをクリックし、「システム環境設定」をクリックするか、Dockの「システム環境設定」アイコン をクリックします。
▼ 「システム環境設定」の「ソフトウェアアップデート」をクリックします。
▼ アップデートの確認が終わると、「macOS Sonoma」が表示されますので「macOS Sonoma」の横にある「今すぐアップグレード」をクリックします。
▼ 使用許諾契約書が表示されます。問題がなければ「同意する」を選択し、作業を継続します。
▼ macOS Sonomaのダウンロードが開始されます。
▼ ダウンロード完了までに時間が掛かる場合がありますので、のんびりと待ちます。
▼ macOS Sonomaのダウンロードが完了すると、自動的にmacOS Sonomaへアップグレードされます。
これには環境によっては時間が掛かりますので、電源を切らずにそのまま待ちます。
▼ macOS Sonomaへのアップグレードがひとまず終わると、Macの再起動を促されます。
▼ 再起動が始まると、すぐにプログレスバーが表示されます。やや不安を感じるかもしれませんが、通常の場合、数分から数十分で完了し次のプロセスに移行します。
▼ 画面が変わらないように見えても処理は継続しています。電源を切ったりせずそのまま待ちます。
▼ 数度の再起動が続いた後、macOS Sonomaのアップグレードが完了します。
これでOCLPを使用して古いMacでもmacOS Sonomaへのアップグレードが完了しました。
しかし、現状は多くの場合、GPUアクセラレータやWi-Fi、Bluetoothなどが利用できません。
次のページではOpenCore Legacy Patcherのルートパッチをインストールして、これらの機能を復活させる方法を紹介します。