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T1チップに対応したOpenCore Legacy Patcher 1.1.0がリリース、描画関連のサポートやmacOS 14.1の対応が強化

Mac

T1チップに対応したOpenCore Legacy Patcher 1.1.0がリリース、描画関連のサポートやmacOS 14.1の対応が強化

Appleからのサポートを失った古いMacに最新のmacOSをインストールするプロジェクト、OpenCore Legacy Patcher (OCLP)の最新バージョン、「1.1.0」が10月24日リリースされました。
OpenCore Legacy Patcher 1.1.0では、T1チップのサポートの他、非Metal Macでの安定性の向上があった他、多数のバグの修正が含まれています。

なお、セマンティックバージョニング採用後の、初のマイナーアップデートです。

目次

主な変更点

ここではOpenCore Legacy Patcher 1.1.0の主な変更点を紹介します。

リリースノートに関しては「おんかぼ!」で詳しくまとめております。

OpenCore Legacy Patcher 1.1.0 ダウンロード先はこちら

macOS 14 (macOS Sonoma)向けの改善

T1セキュリティチップのサポート

OpenCore Legacy Patcher 1.0.1まで課題として残されていたT1セキュリティチップのサポートがこのバージョンから追加されました。

T1セキュリティチップが利用できなかったことで、これまでMacBook Pro 2016と2017年モデルではmacOS SonomaでTouch IDが利用できなかった他、FileVaultの有効化または無効化やApple Payにカードを追加することができませんした。

このリリースによりこれらの機能が利用できるようになり、Touch Barを搭載したMacでのセキュリティと利便性が向上します。

機種IDモデル名
MacBookPro13,2MacBook Pro (13-inch, 2016, Four Thunderbolt 3 ports)
MacBookPro13,3MacBook Pro (15-inch, 2016)
MacBookPro14,2MacBook Pro (13-inch, 2017, Four Thunderbolt 3 ports)
MacBookPro14,3MacBook Pro (15-inch, 2017)
T1チップを搭載した2016、2017年モデルのMacBook Pro

NVMeFixが再度利用可能に

NVMeFixは、Apple NVMeストレージドライバのパッチセットで、非Apple SSDの互換性を向上させることを目的としています。

このバージョンでは、macOS 14向けにNVMeFixが再度利用できるようになりました。

非Metal Macに関する改善と修正

Metal APIを利用できないGPUを搭載した、いわゆる「非Metal Mac」に関する改善もあります。

非Metal MacにmacOS Sonomaをインストールしている環境で発生していた、「天気アプリ」が動作しない問題や、「フルスクリーンメニューバーがアプリツールバーを覆う問題」と「パスワードウィンドウがフォーカスされない問題」が修正されました。

macOS 14.1 (macOS Sonoma)向けの改善

OpenCore Legacy Patcher 1.1.0ではmacOS Sonomaでの新しいバージョン、macOS 14.1に関する改善も盛り込まれました。

PCIe FaceTimeカメラとUSB 1.1のサポートの問題が解決され、これらのデバイスの互換性と機能が向上しています。

macOS 14.1でのUSB 1.1に起因したカーネルパニックが発生する問題を解決しました。

PCIe接続のFaceTime カメラのサポートを追加

PCIe接続のFaceTimeカメラのサポートを追加しました。

OpenCore Vaultingの改良

このアップデートでは、Vaultingプロセスが簡素化され、より簡単に、そしてより迅速にOpenCoreの設定とドライバの署名を検証できるようになりました。

Xcodeコマンドラインツールなしで独立したOpenCore Vaultingをサポートする新機能が追加されました。これにより、ユーザーはXcodeをインストールすることなく、OpenCore Vaultingの機能を利用できるようになります。

UIの改善

新しいリリースを伝えるウィンドウが刷新され、チェンジログ(変更履歴)などを確認できるようになりました。

OpenCore Legacy Patcherのバージョンアップに関して

macOS Sonomaに対応したOpenCore Legacy Patcher 1.0.0よりセマンティックバージョニングを採用し、より

セマンティックバージョニングとは?

セマンティックバージョニング (Semantic Versioning、SemVerとも呼ばれる)は、ソフトウェアのバージョン管理を明確かつ一貫した方法で行うための決めごとです。このバージョニングは、ソフトウェアのバージョン番号を構造化し、それに意味を持たせることにより、ソフトウェアの変更を明確に示し、互換性を保ちます。

セマンティックバージョニングは主に「メジャーバージョン」、「マイナーバージョン」、および「パッチバージョン」という3つの部分で構成されています。

セマンティックバージョニングの形式は メジャー.マイナー.パッチ であり、例えば 1.2.3 のように表現されます。この例では、メジャーバージョンは 1、マイナーバージョンは 2、パッチバージョンは 3 となります。

セマンティックバージョニングを採用することで、開発者と利用者はソフトウェアの変更と互換性について明確な理解を得ることができ、アップデートと依存関係の管理をより簡単かつ効果的に行うことができます。

  1. メジャーバージョン (Major version):
    • ソフトウェアの大きな変更を示します。メジャーバージョンが増加すると、以前のバージョンとの互換性が失われる可能性があります。バックワード互換性がない変更が含まれる場合にインクリメントされます。
  2. マイナーバージョン (Minor version):
    • これはソフトウェアの機能追加や改善を示しますが、既存のAPIとのバックワード互換性は保たれています。新機能の追加や既存機能の改善が行われた場合にインクリメントされます。
  3. パッチバージョン (Patch version):
    • これはソフトウェアのバグ修正を示します。パッチバージョンは、バグ修正やセキュリティ修正が行われた場合にインクリメントされ、これにより既存のAPIとのバックワード互換性は保たれています。

今回はSemVerで行われた初の「マイナーアップデート」

ここでもう一度、OpenCore Legacy Patcherを見てみると、今回のバージョンは「1.1.0」。
つまり、マイナーバージョンが変更された「マイナーアップデート」となります。

なお、OpenCore Legacy Patcherは、このセマンティックバージョニングに関して、次のように説明しています。

最初の数字:大きな変更、新しいOSサポート、APIの変更、重要なパッチセットの変更など
2番目の数字:マイナーな変更、OSアップデートの修正、マイナーパッチセットの変更など
3番目の数字:バグ修正、前回のリリースでの後退(リグレッション)によるものや、すでにリリースされたOSアップデートの問題の解決など

GitHubより

なお、1つ前のOpenCore Legacy Patcher のリリースは「1.0.1」でした。
つまり、バグの解決を中心としたアップデートであったことが分かります。

これからは、OpenCore Legacy Patcherのアップデートに関してバージョンを確認するだけでリリースの目的を確認することができます。

まとめ

ここまでOpenCore Legacy Patcher 1.1.0のリリースに関してお伝えしてきました。

OpenCore Legacy Patcher 1.1.0ではmacOS Sonomaでの利用がより快適になるような変更が中心で、これまで課題とされてきた「T1セキュリティチップ」のサポートや非Metal Macでの安定性が向上しました。

Intel Broadwell iGPUsのレンダリング問題の解決やmacOS 14.1に関する信頼性向上も追加されていたり、OpenCore Legacy Patcherの進化の速さに驚かされます。

弊サイトと「おんかぼ!」では引き続きmacOS SonomaOpenCore Legacy Patcherの最新情報をお届けします。
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では!素敵なMacライフを!