OpenCore Legacy Patcherの最新バージョンである「OpenCore Legacy Patcher 1.0.0」が2023年10月2日(現地時間)に公開されました。
OpenCore Legacy Patcher 1.0.0は事前の告知通りmacOS Sonomaをサポートしたもので、macOS Venturaまでのサポート範囲を維持したまま、新たにmacOS SonomaでAppleからのサポートを失ったMacのサポートが追加されました。
目次
OpenCore Legacy Patcherとは?
OpenCore Legacy Patcher (OCLP)は、最新のmacOSをAppleが公式にサポートしていない古いMacでも動作させることを目的としたミコラ氏がプロジェクトリーダーを務めるコミュニティ主導のプロジェクトです。
これにより、Appleが公式にサポートしていないモデルでも、最新の機能やセキュリティアップデートを利用することが可能となります。
OpenCore Legacy Patcher 1.0.0の使い方
一部のUI(ユーザインタフェース)が変更された他には操作に関して大きな変更はありません。
しかし、macOS Sonomaに関しては現在積極的に開発が進められている最中とのことで、前出のミコラ氏は問題が発生した場合にはいくつか前のバージョンのmacOS を使用するようにと呼び掛けています。
なお、あのかぼではOpenCore Legacy PatcherでのmacOS Sonomaのインストールを検証し、macOS Sonomaに対応したガイドを公開する予定です。
それまでは、以前公開した以下の記事をぜひご覧ください。
OpenCore Legacy Patcher 1.0.0の変更点
macOS Sonomaに対する基本サポートの実装
新しいmacOSバージョン、macOS Sonomaへの基本的なサポートが導入されました。
具体的には、さまざまなハードウェアやグラフィックスアクセラレーション、ワイヤレスネットワーキング、USBイーサネット、Bluetoothサポートなどの問題が解決されています。
macOS Sonomaのサポートに着手したと発表した当初、ワイヤレスサポートやグラフィックのサポートに懸念を示していました。
特に非Metal GPUを搭載したMacでのグラフィックアクセラレータを追加できるかに関しては難色を示しており、サポートが出来たとしてもmacOS Sonomaに対応したOpenCore Legacy Patcherをリリースするタイミングで、このサポートを追加できるか分からないとしていました。
今回リリースされたOpenCore Legacy Patcher 1.0.0では争点の1つあった非Metalのグラフィックアクセラレータも追加されており、OpenCore Legacy PatcherはmacOS Venturaと同じ範囲のMacをサポート、もちろん、macOS SonomaからAppleによってサポートされなくなったMacもOpenCore Legacy Patcherでサポートされます。
ただし、OpenCore Legacy Patcher 1.0.0では、前回の告知の際に現在の課題として明かしていたmacOS SonomaにおけるT1チップのサポートは追加されていないとのことです。
ハードウェアサポートの拡張
macOS 13.3以降でのBCM2046およびBCM2070のサポートを向上。これにより、これらのデバイスチップを利用しているユーザーも安心してアップデートできるようになりました。
AMD GCN GPUを搭載したMacでDRMコンテンツを再生する際のカーネルパニックを回避するワークアラウンドが導入され、安定した動作が期待できます。
UIの改善
macOSのインストーラーのダウンロードメニューが新たに追加され、使用者の利便性が向上しています。
ダウンロードUIも再設計され、より使いやすくなりました。
Universal 2ディストリビューションのサポート
新たにUniversal 2ディストリビューション(x86_64およびARM64)へのサポートが追加されました。これにより、Apple Silicon Macs上でのRosettaの要件が不要となり、ネイティブのパフォーマンスを発揮します。また、ソースからのビルドにはPython 3.11以降が必要となります。
YosemiteとEl Capitanでのフォント問題の修正
フォントの処理周りがアップデートされ、古いmacOSバージョンにおける一部のフォント問題が修正されました。
ビルドサーバーの変更
PythonバックエンドといくつかのPythonモジュールが最新バージョンにアップグレードされ、より安定した動作と互換性が期待できます。
バイナリのアップデート
OpenCorePkg、Lilu、WhateverGreen、RestrictEventsなど、多数のバイナリが新しいバージョンにアップデートされています。
OpenCore Legacy Patcher 1.0.0のチェンジログ
1.0.0 Changelog
GitHub より
- Resolve BCM2046 and BCM2070 support on macOS 13.3 and newer
- Workaround 13.3+ Kernel Panic on AMD GCN GPUs playing DRM content
- Add new macOS Installer download menu (Jazzzny)
- Refresh download UI (Jazzzny)
- Add support for Universal 2 distribution (x86_64 and ARM64)
- Drops Rosetta requirement on Apple Silicon Macs
- Note building from source will require Python 3.11 or newer and up-to-date Python modules
- Update font handling code, fixing font issues on Yosemite and El Capitan
- Resolve incorrect RELEASE usage of OpenCore binaries when DEBUG enabled
- Implement basic support for macOS Sonoma:
- Supports same range of hardware as Ventura, in addition to:
- iMac18,x
- MacBook10,1
- MacBookPro14,x
- Resolved issues:
- Graphics Acceleration support for 3802 and non-Metal GPUs
- UI corruption on 31001 GPUs
- Wireless Networking for BCM94360, 4360, 4350, 4331 and 43224
- USB ethernet support for adapters based on ECM protocol (ex. Realtek)
- dGPU support for MacBookPro14,3
- S1X/S3X NVMe Drive Support
- PCIe-based FaceTime Camera support
- Bluetooth support by switching to dynamic VMM spoofing
- Increment Binaries:
- OpenCorePkg 0.9.3 – release
- Lilu 1.6.7 – release
- WhateverGreen 1.6.6 – release
- RestrictEvents 1.1.3 – (rolling – 4f233dd)
- FeatureUnlock 1.1.5 – release
- DebugEnhancer 1.0.8 – release
- CPUFriend 1.2.7 – release
- BlueToolFixup 2.6.8 – rolling (2305aaa)
- CryptexFixup 1.0.2 – release
- PatcherSupportPkg 1.3.0 – release
- Build Server Changes:
- Upgrade Python backend to 3.11.5
- Upgrade Python modules:
- requests – 2.31.0
- pyobjc – 9.2
- wxpython – 4.2.1
- pyinstaller – 5.13.2
- packaging – 23.1
1.0.0 チェンジログ和訳版:
- macOS 13.3以降におけるBCM2046およびBCM2070のサポートを修正
- macOS 13.3以降において、AMD GCN GPUでDRMコンテンツを再生中のカーネルパニックを回避
- 新しいmacOSインストーラーダウンロードメニューを追加(Jazzznyによる)
- ダウンロードUIをリフレッシュ(Jazzznyによる)
- Universal 2ディストリビューション(x86_64およびARM64)のサポートを追加
- Apple Silicon MacsにおいてRosettaの要件を削除
- ソースからビルドするには、Python 3.11以降および最新のPythonモジュールが必要です。
- フォント処理コードを更新し、YosemiteおよびEl Capitanでのフォント問題を修正
- DEBUGが有効時にOpenCoreバイナリのRELEASE使用が誤っていた問題を修正
- macOS Sonomaの基本サポートを実装:
- Venturaと同じハードウェア範囲をサポートし、さらに以下もサポート:
- iMac18,x
- MacBook10,1
- MacBookPro14,x
- 現在、SonomaではT1チップはサポートされていません。
- 解決された問題:
- 3802および非Metal GPUのグラフィックスアクセラレーションサポート
- 31001 GPUのUI破損
- BCM94360、4360、4350、4331および43224のワイヤレスネットワーキング
- ECMプロトコルを基盤にしたアダプター(例:Realtek)のUSBイーサネットサポート
- MacBookPro14,3のdGPUサポート
- S1X/S3X NVMeドライブサポート
- PCIeベースのFaceTimeカメラサポート
- 動的VMMスプーフィングに切り替えてBluetoothをサポート
- Venturaと同じハードウェア範囲をサポートし、さらに以下もサポート:
- バイナリのインクリメント:
- OpenCorePkg 0.9.3 – リリース
- Lilu 1.6.7 – リリース
- WhateverGreen 1.6.6 – リリース
- RestrictEvents 1.1.3 – (ローリング – 4f233dd)
- FeatureUnlock 1.1.5 – リリース
- DebugEnhancer 1.0.8 – リリース
- CPUFriend 1.2.7 – リリース
- BlueToolFixup 2.6.8 – ローリング(2305aaa)
- CryptexFixup 1.0.2 – リリース
- PatcherSupportPkg 1.3.0 – リリース
- ビルドサーバーの変更:
- Pythonバックエンドを3.11.5にアップグレード
- Pythonモジュールのアップグレード:
- requests – 2.31.0
- pyobjc – 9.2
- wxpython – 4.2.1
- pyinstaller – 5.13.2
- packaging – 23.1
まとめ
ここまでmacOS SonomaをサポートしたOpenCore Legacy Patcher 1.0.0について紹介しました。
OpenCore Legacy Patcher 1.0.0ではmacOS 14のサポートの他、UIの改善やDRMに関する修正、バージョン表記の変更などを含んでいました。
macOS Sonomaに関するサポートではT1チップが利用できない等、まだいくつかの制約はあるものの、難関としていた非Metal GPUのグラフィックアクセラレータが追加されているなど、熱心な開発に頭が下がります。
現在も積極的な開発が続けられているとのことで、今後もOpenCore Legacy Patcherの進化に注目が集まります。
弊サイトと「おんかぼ!」では引き続きmacOS SonomaとOpenCore Legacy Patcherの最新情報をお届けします。
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