Appleは2023年6月5日(現地時間)から行われているWWDC23内で、新しいmacOSのバージョン、macOS Sonoma (macOS 14)を発表しました。このmacOSのリリースにより、複数の古いIntel Macがサポート対象外となりました。しかし、OpenCore Legacy Patcherのプロジェクトリーダー、Mykola Grymalyuk氏は、macOS Sonomaに対応するための開発を進めていることを明らかにし、これらのサポート対象外となったMacでもmacOS Sonomaをインストールできるようになる見込みです。
また、Mykola Grymalyuk氏のTwitterでは自身が所有するMac Pro (2013)上でmacOS Sonomaが動作している様子をスクリーンショット付きで公開しました。
他にも既に複数件macOS Sonoma非対応モデルにmacOS Sonomaをインストールした例が報告されており、条件付きながらもOSの起動に関しては可能なことが示唆されています。
目次
macOS Sonomaに加えられた変更による影響
macOS Sonomaは、いくつかの2017年モデルのMacBook、MacBook ProおよびiMacに対応しないことが明らかにされています。現在、これらのモデルで唯一確認されている制限はワイヤレスサポートの欠如です。それ以外の機能、特にグラフィックはまだネイティブにサポートされています。
OpenCore Legacy Patcherの開発チームは、グラフィックスサポートの問題を調査しています。macOS Sonomaで導入された新しいLLVMコンパイラバージョンは、MacのMetalグラフィックススタックを制御し、機能的なアクセラレーションを得るために重要です。しかし、新しいコンパイラバージョンが一部のGPUの機能に影響を及ぼしていることがわかりました。チームは現在、問題の調査と修正に取り組んでいます。
さらに深刻な問題として、新たなmacOSのリリースにより、多くのMacで使用されていたワイヤレスカードのサポート、IO80211FamilyLegacyが削除されました。IO80211FamilyLegacyは多くのMacモデルのワイヤレスカードをサポートしていたため、この変更は大多数のMacに影響を及ぼします。チームは現在、この問題の修正に向けて実験的なパッチセットを開発していますが、適切な解決策はまだ調査中です。
OpenCore Legacy Patcherの開発チームは、すべての問題を解決するまでに時間がかかると予想しています。特に、古いワイヤレスサポートと一部のグラフィックカードの問題は、機能的なパッチセットを開発するために大規模な時間必要となるとしています。
グラフィックスサポートについて
macOS Sonomaでは、Metalグラフィックススタックを駆動する新しいLLVMコンパイラバージョン32023に移行しました。この移行により、いくつかのGPUは動作が不安定になる可能性があります。OpenCore Legacy Patcherは、これらの問題を調査し、解決策の見出すため作業を行っています。
LLVMコンパイラは、macOSのMetalグラフィックススタックを動作させるために重要な役割を果たしています。
31001ベースのグラフィックカード
新しいコンパイラバージョンにより、UIの一部で描画の問題が発生しています。しかし、この問題はほぼ解決しているとのことです。
加えて、IOAcceleratorFamily2 で、Intelのフレームバッファを扱う際にカーネルパニックを引き起こす問題も発見され、IOAcceleratorFamily.kext をダウングレードすると、このパニックの問題は回避できるとしながらも、将来的なメンテナンスを考慮すると、この問題について適切に処理するアプローチを模索する必要があるとのことです。
3802ベースのグラフィックカード
こちらのGPUについては、新しいLLVMバージョンの影響が大きく、現時点ではmacOS Sonomaとの互換性がほぼない状況です。これがサポートの最大の課題となる可能性があり、現在はこれらのグラフィックカードをサポートできるかどうかは不確かだとしています。
非Metal (Non-Metal)への対応
macOSが更にWindowManagerスタックに依存するようになったため、Metal非対応のグラフィックカードについてはサポートのタイムラインを明かせないとしており、こちらも3802ベースのグラフィックカード同様、macOS Sonomaで機能するかどうかは不確かです。
ワイヤレスサポートについて
macOS Sonomaでは多くのMacで利用されていたIO80211FamilyLegacyサポートが削除されました。
IO80211FamilyLegacyは、多くのMacモデルのワイヤレスカードをサポートしていたため、この変更は多くのMacユーザーに影響を及ぼします。
OpenCore Legacy Patcherの開発チームは現在、この問題を修正するためのパッチセットを開発しています。ただし、現状ではこのパッチセットは実験段階にあり、Kernel Debug Kitに依存しているため、現在はエンドユーザーでは利用できません。そのため、適切な解決策を調査中とのことです。
この問題の影響により、AirPlay to Mac、Continuity Camera、その他のContinuityベースの機能は未サポートまたは不安定になる可能性があります。
この影響を受けるのは以下のワイヤレスカードです。
- BCM943224
- BCM94331
- BCM94350
- BCM94360
- BCM943602
(macOS Venturaを正式にサポートしていたMacのうち、macOS Sonoma以降をサポートしないMacに取り付けれれている純正のワイヤレスカードすべて)
Bluetoothサポート
現在、すべての非サポートMacでBluetoothのスキャンが機能しない問題があります。適切な解決策は現在調査中としています。
開発のスケジュール
Mykola Grymalyuk氏は、新しいmacOSの大きなリリースごとに、パッチャーの開発がより困難になっているとし、現状では、全ての問題を解決するタイミングは未定です。macOS Sonomaに対するOpenCore Legacy Patcherの適切なサポートについても正確な予定に関しては明言できないとしています。しかし、ざっくりとした見積もりとして、macOS Sonomaをサポートできるようになるまでには約6ヶ月後になると発表しています。
macOS Sonomaの対応機種
macOS SonomaをインストールできるMacは以下の通りです。
- iMac 2019以降
- iMac Pro 2017以降
- Mac mini 2018以降
- Mac Pro 2019以降
- Mac Studio 2022
- MacBook Air 2018以降
- MacBook Pro 2018以降
iMac 2017やMacBook Pro 2017などはmacOS Sonomaにアップグレードできなくなりました。
詳しいmacOS Sonoma の対応機種の情報はこちらの記事をご覧ください。
まとめ
Appleの新しいmacOSバージョン、macOS Sonomaの発表後、古いIntel Macの一部がサポート対象から外される見通しとなりました。しかし、OpenCore Legacy Patcherのチームは、新OSへの対応を進めることを発表しました。
新OSリリースにより、特に2017年モデルの一部のMacBookおよびiMacのサポートが中止される見込みです。これらのモデルには、ワイヤレスサポートが欠けている一方で、グラフィックスは依然としてネイティブにサポートされています。
グラフィックスサポートの問題として、新LLVMコンパイラが導入され、一部のGPUの機能に影響を及ぼす可能性があります。OpenCore Legacy Patcherのチームは、問題を解決するための調査と修正に取り組んでいます。
さらに重要な問題は、多くのMacで使用されていたワイヤレスカードのサポートプログラムIO80211FamilyLegacyが削除されたことです。チームは現在、この問題の適切な解決策を探しています。
始めに紹介したように、既にmacOS Sonomaが対応しないMacでmacOS Sonomaが起動している例を紹介しましたが、上記のようにMacを利用するうえで重大な問題が山積しています。特に、古いワイヤレスサポートと一部のグラフィックカードの課題は大規模な時間と開発が必要となると予想されています。
引き続き#あのかぼ、#おんかぼではmacOS SonomaやOpenCore Legacy Patcherの最新情報をお届けしていきますので、どうぞお楽しみに!