Linuxの次期バージョンであるLinux 6.7以降では長年にわたりサーバーの高性能化を支えてきたIntelのIA-64アーキテクチャの「引退」を公式に発表されました。
IA-64、つまりItaniumアーキテクチャは、2001年にIntelとHPの共同開発により市場に投入されました。このアーキテクチャは、特に大規模な処理を要求されるサーバなどで活躍してきましたが、その複雑な設計は技術の進歩と市場の変遷により、他のアーキテクチャにその地位を譲ることになりました。
Linuxカーネルの開発者はこの過渡期において、IA-64アーキテクチャを最後に採用したリリースをLTS(Long-Term Support)カーネルとして維持し、IA-64サポートの終了を円滑に進める計画を進行中です。Linux 6.7のリリースにより、今後のLinuxカーネルはIA-64アーキテクチャを含まないことが確定し、開発の焦点は現代的なアーキテクチャに絞られます。
また、システムコールテーブルにも更新が加えられました。新たに追加されたmap_shadow_stack()システムコールは、全アーキテクチャに予約され、Linuxカーネルのセキュリティ機能を強化するための基盤となる予定です。さらに、過去に削除されたsys_lookup_dcookie()システムコールの参照をクリーンアップすることで、カーネルのコードベースを整理し、保守性を高めています。
このアップデートは、ヘキサゴンアーキテクチャのptrace.h uapi (Userspace API)から利用ができないシンボルを取り除くなど、細部にわたる整理も含んでいます。さらに、IA-64に関する記述をドキュメントから削除または置き換えることで、カーネルドキュメントが最新の状態を反映するよう努めています。
この動きは、Linuxカーネルが新しいセキュリティ機能の強化に向けて進化し続けていることを示す一方で、IA-64アーキテクチャのようなレガシーなアーキテクチャから、より新しいアーキテクチャに緩やかかつ、確実に移行し時代に合わせて更新していくというカーネル開発の姿勢を表しています。
Linux 6.7は、Linuxカーネルが新しいセキュリティ機能の強化に向けて進化し続けていることを示す一方で、IA-64アーキテクチャのような歴史的な遺産を適切に保守し、時代に合わせて更新していくというカーネル開発の姿勢を象徴しているともとれるでしょう。