Appleは2023年9月13日、同社の新製品発表イベントである「Apple Event」で新型の「iPhone 15」シリーズや「Apple Watch Series 9」、「Apple Watch Ultra 2」など複数の製品を発表しました。
この記事では今回のApple Eventで発表された内容を基に、「iPhone 15」と「iPhone 15 Pro 」、「iPhone 15 Plus」、「iPhone 15 Pro Max」の違いや見どころを中心に詳しく紹介していきます。
目次
- iPhone 15シリーズの見どころ
- iPhone 15シリーズのラインナップ
- iPhone 15はミリ波には非対応
- コラム:iPhone 15とiPhone 15 PlusがUSB 3に対応しない理由
- iPhone 15は買いなのか?
iPhone 15シリーズの見どころ
今回の新製品発表イベントで特に注目を浴びたのは、「iPhone 15」。
その背景には、欧州連合(EU)が2024年12月28日までにスマートフォン、タブレット、カメラなどの充電端子をUSB Type-Cに統一するという方針を打ち出していることがあります。
そのため、Appleが独自の「Lightning」規格から「USB Type-C」に変更するのかどうかが、大きな関心事となっていました。
iPhone 15シリーズでの主な変更点
- iPhone 15、LightningからUSB Type-Cへ移行
- iPhone 15の全モデルでDynamic Island搭載
- SoCが「Apple A16 Bionic」や「Apple A17 Pro」に変更
- メインカメラの進化
- iPhone 15 Pro / iPhone 15 Pro Maxで「着信/消音モードスイッチ」(ミュートスイッチ)がカスタマイズ可能な「アクションスイッチ」に
- iPhone 15 / iPhone 15 Plusの背面ガラス全体に色が埋め込まれたデザインに?
- iPhone 15 Pro / iPhone 15 Pro MaxがiPhone初のチタニウムのデザインに
今回はSoCもアップデートされました。
「iPhone 15」と「iPhone 15 Plus」ではiPhone 13、iPhone 14で使用されていた「Apple A15 Bionic」からiPhone 14 ProやiPhone 14 Pro Maxで使用されていた「Apple A16 Bionic」に変更されました。
「iPhone 15 Pro」と「iPhone 15 Max」では「Apple A17 Pro」にアップデート、USB 3にも対応します。
iPhone 15、LightningからUSB Type-Cへ移行
iPhone 15シリーズではついにLightningからUSB Type-Cへと移行しました。
AppleのiPhone 15シリーズ発表前に出回っていたリーク情報でもほぼUSB Type-Cになることは有力視されていましたが、正式にUSB Type-Cに移行が決定されたことで、ホッとした方も多いのではないでしょうか。
USB Type-Cに変更され、気になるのは転送速度。
iPhoneの大容量化と、処理性能の向上により大きなファイルを取り扱うことが可能なため、パソコンへのファイル転送や同期の際、従来のiPhoneのようにUSB 2.0 (理論上の最高速度は480MB/s)では時間が掛かりすぎていました。
結論から入ると、iPhone 15 ProとiPhone Pro MaxではUSB 3となり、理論上の最高速度は10GB/sと飛躍的に向上したものの、iPhone 15、iPhone 15 PlusではUSB 2.0 (Appleの表記ではUSB 2)で最大480MB/sに据え置かれました。
Appleのこの判断はiPhoneのコスト的にもブランド戦略的にも合理的であると言わざるを得ません。
多くのスマートフォンが既にUSB 3.1 Gen 1やUSB 3.1 Gen 2に対応していた中で、頑なにUSB 2.0にこだわり続けて、16年。(初代のiPhoneからUSB 2.0)
USB Type-Cになったからと言って、全てのモデルをUSB 3に対応させる必然性はAppleにはなかったといっても驚きはありません。
iPhone 15とiPhone 15 PlusがUSB 3に対応しなかった理由は後述の「コラム」で考察しております。
iPhone 15の全モデルでDynamic Island搭載
iPhone 14 Pro、Pro Maxに採用された「Dynamic Island」(ダイナミック アイランド)がiPhone 15シリーズの全てのモデルに搭載されました。
Dynamic Islandは従来のノッチではなく、UIと一体になっているかのように振る舞うのが特徴の表示方法です。
各アプリの対応状況やiOSのあしらいによっては、他のUI要素を隠してしまうなどのトラブルが過去に指摘されることもありましたが、9月19日に配信されるiOS 17ではさらなる活用と安定性が期待されます。
SoCが「Apple A16 Bionic」、「Apple A17 Pro」に変更
新しいSoC、「Pro」という名前が冠された「Apple A17 Pro」が登場しiPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxに搭載されました。
iPhone 15とiPhone 15 Plusには、もともとiPhone 14 ProやiPhone Pro Maxに搭載されていたSoC、「Apple A16 Bionic」が搭載されると発表されました。
iPhone 15 ProやiPhone 15 Maxに搭載される「Apple A17 Pro」には190億個のトランジスタが搭載されています。
業界初となる3ナノメートル プロセスルールで製造されており、高性能コアでは最大10%高速になりました。高効率コアではワットパフォーマンスが他社製品の3倍としており、Sribalan Santhanam氏は「最も一般的な作業で使用される高効率コアの最適化がiPhoneにとって重要である」ということを強調していました。
そして最近の、Apple Aシリーズ SoCやApple MシリーズなどのApple Siliconには欠かせない、Neural Engine(ニューラル エンジン)も進化しました。
Neural Engineは、個人データをクラウドに送信せずにデバイス上で機械学習を使用し文字入力の自動修正や写真から被写体を切り抜いたり、アクセシビリティ関連の高度な作業などを行います。
Apple A17 ProのNeural Engineは機械学習モデルの速度が最大2倍になり、最大 35兆のオペレーションを処理できるようになりました。
Apple A17 ProにはProRes コーデック、ProMotionと Always-On ディスプレイを駆動するディスプレイ エンジンなど、プロ機能を有効にする専用エンジンが搭載されている他、専用の AV1 デコーダーも搭載しています。
このAV1 デコーダーにより、ストリーミング サービスでのより効率的で高品質なビデオ体験を可能になるとのことです。
Appleは今回、GPUを「同社史上最大の再設計」したとしており、Apple A17 ProにはAppleの新しいシェーダー アーキテクチャを備えたまったく新しい GPUを搭載しているとのこと。
この再設計にあたり「パフォーマンスと効率の向上」、「複雑なアプリケーションの実行」、「新しいレンダリング機能」に重点を置いたとしています。
新しいGPUでは6コアの設計になりピーク パフォーマンスが最大20%高速化されました。
パフォーマンスの持続に役立つエネルギー効率にも焦点を当て、 メッシュ シェーディングなどの新しい機能を GPU に追加。
これにより、消費電力を抑えながらディテールの高いゲーム環境を実現するとしています。
ハードウェア アクセラレーションによるレイ トレーシングを搭載し、スマートフォンの中では最速のレイ トレーシング パフォーマンスを実現します。
これにより、高いフレーム レートでこれらのグラフィックスをスムーズに実行でき、ゲームや AR アプリケーションの没入感がさらに高まります。
Apple A17 Pro はエネルギー効率が高く、A16 Bionic のソフトウェアベースのレイ トレーシングと比較して最大4 倍高速に実行できます。
メインカメラの進化
iPhone 15とiPhone 15 Plus、iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxはどのモデルもカメラがアップデート。
iPhone 15とiPhone 15 Plusに搭載された48MPメインカメラは、クアッドピクセルセンサーと高速オートフォーカスディテールを捉えながら、シャープな写真とビデオを撮影できます。
ハードウェアとソフトウェアの効率的な統合することによって、iPhoneのデュアルカメラシステムで初めて、0.5倍、1倍、2倍の3段階の光学ズームが提供されます。
iPhone 15とiPhone 15 Plusの次世代のポートレートは、よりシャープなディテール、よりあざやかなカラーを実現し、明るさが足りない場面での性能が向上しています。
ユーザーがポートレートモードに切り替えなくてもポートレートを撮影できるようになり、フレーム内に人、犬、猫がいる時、またはユーザーがタップしてフォーカスした時に、iPhoneが自動で深度情報を取り込みます。
その為、ユーザーはあとからiPhone、iPad、またはMacの写真アプリで、写真を美しいポートレートに変えることができます。
iPhone 15 ProとiPhone Pro Maxは、iPhone 15よりもさらに大きなセンサーを備えた、より高度な48MPメインカメラを備えています。
24mm、28mm、35mmという3つのよく使われる焦点距離を切り替えることができ、その中の一つを新しいデフォルトとして設定することもできます。メインカメラは、48MPのProRAWに加え、解像度が4倍高い48MPのHEIF画像にも対応します。
iPhone 15 Proは広大な3倍望遠カメラを搭載し、iPhone 15 Pro MaxはiPhone史上最も長い焦点距離120mmで5倍の光学ズームを提供します。
iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Maxでミュートスイッチが廃止、アクションボタンに。
長らく親しまれたiPhoneの「着信/消音モードスイッチ」(ミュートスイッチ)がiPhone 15 ProやiPhone 15 Pro Maxでは廃止され、プログラマブルな「アクションボタン」に変更されました。
アクションボタンでは、既定の設定では「着信/消音モードスイッチ」として動作し、長押しをすることで意図を確認されます。
この時、特有の触覚フィードバックも感じられるとのことで、直感的な操作が期待されます。
ミュートスイッチとしての役割の他にも、押すだけでボイスメモを開始してアイディアを素早く記録したり、カメラを立ち上げたりすることも可能です。
このほか任意のアプリの起動やカスタムショートカットの実行など、アクションボタンはiPhoneにさらなる利便性と多用途性を持たせると強調しています。
これらのアクションボタンでの操作はiPhone 15 Pro上のDynamic Islandで視覚的なフィードバックが提供されるとのこと。
iPhone 15 / iPhone 15 Plusの背面ガラス全体に色が埋め込まれたデザインに?
iPhone 15とiPhone 15 Plusのガラスのスマートフォンで初めて背面ガラス全体にカラーが埋め込まれた「カラーインフューズド背面ガラス」が採用されました。
背面ガラスは二重イオン交換プロセスで強化されたあと、ナノクリスタル粒子で磨き上げ、エッチングを施し、上質な質感のあるマット仕上げになっているそう。
エッジはアルミニウムの筐体にある新しい曲線を持たせており、利用者の手にフィットするそうです。
iPhone 15 Pro / iPhone 15 Pro MaxがiPhone初のチタニウムのデザインに
iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro MaxにはiPhone初の強くて軽量なチタニウムのデザインを備えています。
強度重量比が最も高い金属の一つでiPhone 15 ProとiPhone 15 Pro MaxがApple史上最も軽量なProのラインナップになったことに貢献しているそうです。
iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxは、iPhone史上最も細い外枠、Ceramic Shieldの前面カバー、新しい曲線を持たせたエッジを備えています。
iPhone 15シリーズのラインナップ
ここで、今回登場したiPhone 15シリーズのラインナップを改めて紹介します。
本日の発表では
- iPhone 15
- iPhone 15 Plus
- iPhone 15 Pro
- iPhone 15 Pro Max
の4つのモデルが発表されました。
語弊はありますが、iPhone 15の画面を大きくしたiPhone 15 Plus、iPhone 15 Proをベースに画面とカメラを改良したiPhone 15 Pro Max、といった立ち位置です。
iPhone 15 | iPhone 15 Plus | iPhone 15 Pro | iPhone 15 Pro Max | |
---|---|---|---|---|
価格 | 124,800円(税込)から | 139,800円(税込)から | 159,800円(税込)から | 189,800円(税込)から |
ディスプレイ | 6.1インチ Super Retina XDRディスプレイ | 6.7インチ Super Retina XDRディスプレイ | 6.1インチ Super Retina XDRディスプレイ ProMotionテクノロジー 常時表示ディスプレイ | 6.7インチ Super Retina XDRディスプレイ ProMotionテクノロジー 常時表示ディスプレイ |
Dynamic Island | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
表面加工 | カラーインフューズドガラスの背面と アルミニウム | カラーインフューズドガラスの背面と アルミニウム | テクスチャードマットガラスの背面と チタニウム | テクスチャードマットガラスの背面と チタニウム |
カラー | ピンク イエロー グリーン ブルー ブラック | ピンク イエロー グリーン ブルー ブラック | ナチュラルチタニウム ブルーチタニウム ホワイトチタニウム ブラックチタニウム | ナチュラルチタニウム ブルーチタニウム ホワイトチタニウム ブラックチタニウム |
ボタン | 着信/消音スイッチ | 着信/消音スイッチ | アクションボタン | アクションボタン |
SoC | A16 Bionic 6コアCPU 5コアGPU 16コアNeural Engine | A16 Bionic 6コアCPU 5コアGPU 16コアNeural Engine | A17 Pro 6コアCPU 6コアGPU 16コアNeural Engine | A17 Pro 6コアCPU 6コアGPU 16コアNeural Engine |
・48MPメイン ・超広角 超高解像度の写真(24MPと48MP) | ・48MPメイン ・超広角 超高解像度の写真(24MPと48MP) | ・48MPメイン ・超広角 ・望遠 超高解像度の写真(24MPと48MP) | ・48MPメイン ・超広角 ・望遠 超高解像度の写真(24MPと48MP) | |
光学ズームオプション | .5x 1x 2x | .5x 1x 2x | .5x 1x 2x 3x | .5x 1x 2x 5x |
バッテリー駆動 | 最大20時間のビデオ再生 | 最大26時間のビデオ再生 | 最大23時間のビデオ再生 | 最大29時間のビデオ再生 |
表面素材(前面) | Ceramic Shield | Ceramic Shield | Ceramic Shield | Ceramic Shield |
表面素材 | アルミニウム | アルミニウム | チタニウム | チタニウム |
耐水性能 | 水深6メートルで最大30分間の耐水性能 IP68等級 | 水深6メートルで最大30分間の耐水性能 IP68等級 | 水深6メートルで最大30分間の耐水性能 IP68等級 | 水深6メートルで最大30分間の耐水性能 IP68等級 |
容量 | 128GB 256GB 512GB | 128GB 256GB 512GB | 128GB 256GB 512GB 1TB | 256GB 512GB 1TB |
iPhone 15とiPhone 15 Proの違い
iPhone 15とiPhone 15 Proにはユーザのターゲット層が異なり、それぞれ特徴や仕様が異なります。
特に、SoCやカメラ、LiDARなど各種センサーの有無やUSB Type-Cの規格などiPhone 15 ProにはiPhone 15(や後述のiPhone 15 Plus)にはない魅力があります。
▼ かぼしーの独断と偏見による、「特筆すべき」iPhone 15とiPhone 15 Proの違い
iPhone 15 | iPhone 15 Pro | |
---|---|---|
SoC | A16 Bionic | A17 Pro |
ハードウェアレイトレーシング | – | 〇 |
常時表示ディスプレイ | – | 〇 |
ProMotion | – | 〇 120Hzのアダプティブリフレッシュレート |
端子と規格 | USB-C USB 2 (480MB/s) | USB-C USB 3 (10GB/s) |
カメラ | メイン:48MP、ƒ/1.6絞り値 超広角:12MP、ƒ/2.4絞り値 | メイン:48MP、ƒ/1.78絞り値 超広角:12MP、ƒ/2.2絞り値 望遠:12MP、ƒ/2.8絞り値 |
光学ズームオプション | 0.5倍、1倍、2倍 | 0.5倍、1倍、2倍、3倍 |
撮影オプション | – | Apple ProRAW マクロ写真撮影 ナイトモードのポートレート |
LiDARスキャナ | – | 〇 |
サイズと重量 | 高さ 147.6 mm 幅 71.6 mm 厚さ 7.80 mm 重量 171 g | 高さ 146.6 mm 幅 70.6 mm 厚さ 8.25 mm 重量 187 g |
選択可能な容量 | 128GB 256GB 512GB | 128GB 256GB 512GB 1TB |
価格 | 124,800円(税込)から | 159,800円(税込)から |
この他にも、ボタンが「着信/消音スイッチ」なのか、「アクションボタン」なのかで異なったり、表面素材がアルミニウムなのか、チタニウムなのかで異なったりします。
この差については、従来のシンプルな操作が好ましい場合や見た目の好みもありますので、「特筆すべき」には含めませんでした。
iPhone 15とiPhone 15 Plusの違い
ザックリと紹介するとiPhone 15とiPhone 15 Plusは主に画面のサイズが異なる点、それに伴ってバッテリーの容量が異なるという点以外に、あまり大きな差はありません。
iPhone 15 | iPhone 15 Plus | |
---|---|---|
ディスプレイ | 6.1インチ Super Retina XDRディスプレイ | 6.7インチ Super Retina XDRディスプレイ |
バッテリー駆動 | 最大20時間のビデオ再生 最大80時間のオーディオ再生 | 最大26時間のビデオ再生 最大100時間のオーディオ再生 |
サイズと重量 | 高さ 147.6 mm 幅 71.6 mm 厚さ 7.80 mm 重量 171 g | |
価格 | 124,800円(税込)から | 139,800円(税込)から |
現状、iPhone 8 Plusを利用している方で、次も大きな画面で利用したい方にはiPhone 15 Plusがお勧めです。
iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxの違い
iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxは画面サイズの違いとバッテリー駆動時間の他、カメラに違いがあります。
大きめの画面が欲しい場合、またはズーム性能に魅かれる方はiPhone 15 Pro Maxがお勧めです。
iPhone 15 Pro | iPhone 15 Pro Max | |
---|---|---|
ディスプレイ | 6.1インチ Super Retina XDRディスプレイ | 6.7インチ Super Retina XDRディスプレイ |
バッテリー駆動 | 最大23時間のビデオ再生 最大80時間のオーディオ再生 | 最大29時間のビデオ再生 最大100時間のオーディオ再生 |
光学ズームオプション | 0.5倍、1倍、2倍、3倍 | 0.5倍、1倍、2倍、5倍 |
サイズと重量 | 高さ 146.6 mm 幅 70.6 mm 厚さ 8.25 mm 重量 187 g | 高さ 159.9 mm 幅 76.7 mm 厚さ 8.25 mm 重量 221 g |
選択可能な容量 | 128GB 256GB 512GB 1TB | 256GB 512GB 1TB |
価格 | 159,800円(税込)から | 189,800円(税込)から |
iPhone 15はミリ波には非対応
iPhone 15シリーズはもちろん5Gには対応しています。
ただし、iPhone 15 ProやiPhone 15 Pro Maxを含め、国内モデルは5Gのミリ波非対応です。
国内でミリ波が利用できるエリアが狭く、この判断は妥当であるように思います。
コラム:iPhone 15とiPhone 15 PlusがUSB 3に対応しない理由
USB Type-CとなったiPhone 15シリーズ。
この発表の中で、iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro MaxはUSB 3(理論上の最高速度は10GB/s)であるにもかかわらず、iPhone 15とiPhone 15 PlusはUSB 2(理論上の最大速度は480MB/s)であることに驚きと落胆の声がネット上で散見されました。
何故この仕様になったのでしょうか。
その答えは、iPhone 15とiPhone 15 Plusに搭載されたSoCにあります。
iPhone 15とiPhone 15 Plusに搭載されたSoCはiPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxに使用されていた「A16 Bionic」です。
Appleによると、iPhone 15 ProやiPhone 15 Pro Maxに搭載された新しい「A17 Pro」ではUSB 3をサポートするためのUSBコントローラが搭載されました。
このため、USB 3コントローラが搭載されている「A17 Pro」を使用したiPhone 15 ProとiPhone 15 Pro MaxのみがUSB 3をサポートすることになりました。
とはいえ、必ずしもUSBコントローラはSoCに搭載させる必要はありません。
Appleとしても2015年に発売したLightning端子のiPad Proではロジックボード上にUSB3.0のコントローラ(Fresco Logic FL1100SX 2-port USB 3.0 Host Controller)を搭載し、スペック上ではUSB 3.0を利用できるようにしていました。
しかし、ロジックボードのデザインやコスト面、ブランド面においてもiPhone 15やiPhone 15 PlusをUSB 3に対応させるメリットはAppleとして少なく、寧ろここでiPhone 15 ProやiPhone 15 Pro Maxとの違いを際立たせた方が、SoCの進化が分かりやすくなる、ブランドの強化につながると判断したと考える方が自然です。
iPhone 15は買いなのか?
iPhone 5から続いてきたLightningを廃し、USB Type-Cに移行したiPhone。
その他の面でも多くの改善を盛り込み、使いやすくなった印象を受けます。
間もなく公開されるiOS 17ではiPhone X、iPhone 8、iPhone 8 Plusが非対応となり、買い替えを余儀なくされる方もいらっしゃると思います。
そのような方にはiPhone 15はお勧めです。
逆に、iPhone 12 miniやiPhone 13 miniなど、小型なiPhoneを利用したい方は躊躇われると思いますし、iPhone SEシリーズのような安価なモデルが欲しい方には考えてしまうかもしれません。
iPhone 15は今お持ちのiPhoneに著しい不満がなく、iPhoneの買い替えを検討している方やUSB Type-Cに統一したい方にはおすすめです。
iPhone 14までと比較しても多数の改善、特にディスプレイやカメラ周りは随分とアップデートされました。
一方で、現状iPhoneの管理をiTunesで行っており、写真や動画を多く撮られる方で、現状の転送速度に不満がある方にはiPhone 15 Pro以上がお勧めです。
利用されるシチュエーションや不満な点に着目して、気に入るモデルを検討できると楽しく買い替えることができるかもしれません。